研究課題
多孔質膜に対して上下の二つの流路を有するマイクロ流体デバイスを作製した。そのデバイスには上下の流路に対して電極を設置して膜を介した電流の抵抗値を計測できるようにした。腸管上皮細胞をその膜状に播種し、上下に培地を流しながら、密着結合の形成をその抵抗値の上昇から確認することができた。さらに、嫌気条件を構築するために、そのデバイスを培養するための嫌気チャンバーを作製して、嫌気条件下でマイクロ流体デバイス中で腸管上皮細胞を安定的に培養できることを確認した。このデバイスの細胞側に対して上層(apical側)の培地から大腸菌を導入し、新鮮な培地を流し続けたところ、大腸菌と共に腸管上皮細胞も安定的に培養できることに成功した。さらに、腸管上皮細胞の下層に生体内と同様に免疫細胞であるマクロファージ細胞株を播種して大腸菌との共培養を行った。その結果、マクロファージが活性化し炎症性サイトカインの発現が上昇していることを示した。そして、その刺激を上皮細胞が受け取り炎症マーカー遺伝子の発現上昇、および密着結合の指標である電気抵抗値の低下によるバリア機能の崩壊が確認できた。この結果からマイクロ流体デバイス内で流速をかけた場合でも細胞間、細胞と細菌間のコミュニケーションがあることを確認した。
1: 当初の計画以上に進展している
1年目はデバイスを作製することと腸管培養組織を構築することを主としておこなったが、予想以上に成功し、大腸菌の共培養も成功し、さらには、マクロファージも共培養し、大腸炎モデルとしても応用できることが示せた。
他の菌種も共培養し、人工便モデルを構築し、食料品、サプリメントなどの腸管吸収等を確認していく予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件)
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