研究課題
アルファ線は、生体中において飛程が数十μm で、腫瘍を殺傷する能力が高いという特性があり、転移がんなどに対する治療にアルファ線放出核種を用いた内用療法が期待されている。アルファ線放出核種であるアスタチン(At-211)はアルファ線のみを放出するため、目標とする腫瘍細胞に集まればその細胞に多くのエネルギーを与えることができ殺傷することができる。しかし、細胞を用いた実験において、腫瘍細胞に At-211 標識化合物が集まっているかどうかを実時間に知ることは不可能であった。現状は、CR-39 固体飛跡検出器を用いてアルファ線の飛跡を検出する方法が使われている。CR-39 固体飛跡検出器を用いる方法は、細胞から放出されるアルファ線によって生じる固体検出器のキズをエッチングでサイズを大きくし、顕微鏡で観察する。しかしこの方法では、アルファ線のスポットはエッチングにより大きくなり、細胞中におけるアルファ線放出核種の位置を正確に知ることができない。またエッチングなどの処理後に分布画像が得られるため、手間と時間が掛かる。さらに、アルファ線放出に伴う、時間経過による細胞の形状の変化や細胞死などの重要な現象を観察することは不可能である。この問題点を解決するために、1μm径の共晶体シンチレータとテーパー型ファイバープレート、高感度CCDカメラを組み合わせ、アルファ線の飛跡をリアルタイムで画像化するイメージング装置の開発に成功した。テーパー型ファイバープレートを2段用いることにより、空間分解能を飛躍的に向上させ、共晶体シンチレータ中を走行するα線に飛跡画像をリアルタイムで撮像できた。α線に対する空間分解能は約11μmであった。画像の飛跡方向のプロファイルを解析することで、アルファ線のブラッグピークも観察できた。α線の飛跡をリアルタイムで画像化できる装置開発を開発できた。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 備考 (1件)
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