研究課題
これまで巨核球分化・成熟を支持する骨髄間質細胞の報告はほとんどなく、血小板・巨核球造血に対する骨髄環境の研究は未開拓の分野であった。我々はpodoplanin (PDPN) 陽性間葉系細胞の発見から『骨髄内微小環境が血小板・巨核球造血を制御する』という新しい概念を提唱し、従来の血小板・巨核球造血研究にブレークスルーをもたらした(Tamura S et al. Blood. 2016.127(13):1701-10)。PDPN陽性間葉系細胞はPDPNを介して巨核球のC-type lectin-like receptor 2(CLEC-2)を刺激し、幼若巨核球の自己増殖を増強する。この知見から、申請者らはポドプラニン陽性間葉系細胞が巨核球分化誘導性フィーダー細胞として応用可能であると考えた。PDPN陽性間葉系細胞の巨核球培養フィーダーとしての可能性を検討するために、我々は不死化PDPN陽性間葉系細胞を樹立した。マウス培養巨核球との共培養でPDPN陽性間葉系細胞の巨核球造血促進能を評価したところ、ゲノム編集により作製したPDPN KO間葉系細胞に比して、PDPN陽性間葉系細胞は明らかに巨核球前駆細胞の自己増殖を促進することを確認した。これは培養下においてもPDPNが巨核球の増殖を促進することを示す。しかし、成熟巨核球から産生される血小板がフィーダーであるPDPN陽性間葉系細胞に接着してしまい、血小板の回収率が極端に低下することも明らかになった。今後は、リコンビナントPDPNを固着させたマイクロビーズなどの非細胞系巨核球造血支持担体など、非フィーダー細胞の血小板大量産生培養システムの開発が必要である。
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