研究実績の概要 |
本研究で使用するためのMRI撮影用のパルスシーケンス(撮像プログラム、plug-and-play MRF)をニューヨーク大学の研究者を招聘して当施設のMRI装置での動作確認・検証を行った。plug-and-play MRFを用いて行ったラディアルスキャンで得られた計測データを用いて様々な時間遅れに相当するシミュレーションを行うことで、位置補正に必要なデータを生成した。また、上記データを用いてゼロ次項に関する位置補正を行った結果、画像のアーチファクトが減少することを確認し、国際学会(international society for magnetic resonance in medicine, ISMRM)にて報告した。(2020 ISMRM #0657) 深層学習にかんしては、GPUを搭載したlinuxワークステーションによる計算機グリッドを構築し、MRI画像を入力および出力とする深層学習ネットワークの構築を行った。入力直後に学習済みのVGG19を接続し、VGG16の後段に(Conv2DTranspose, Dropout, concatenate, BatchNormalization, Activation)から構成される多段のUpSampling相を接続した。VGG19に相当する入力層から第23層までを学習させないように設定した上で、間引き収集されたMRI画像を入力画像、間引き収集しないMRI画像を出力画像として、5000枚の膝MRI画像を用いて学習を行った結果、良好な画像を復元することが可能となった。 画像再構成に深層学習の手法を融合させることができれば、画像再構成に要する時間の飛躍的な短縮がはかれ、臨床応用を加速する大きなポイントになりうる。深層学習を用いたMRI画像再構成研究はまだ萌芽期であり、ネットワークの構成、学習方法の最適化、画質評価の手法など今後も検討が必要である。画質劣化を伴わずにMRIの高速撮像が可能となれば、高齢者や小児など、臨床において長時間のMRI撮像が負担となる患者にとって、大きなメリットとなりうる。
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