研究課題/領域番号 |
18K19927
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
清松 悠 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (80756362)
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研究分担者 |
大嶋 佑介 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10586639)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 変形性関節 / 軟骨 / バイオイメージング / ラマン分光法 / 第2次高調波 / 再生軟骨 |
研究実績の概要 |
変形性関節症は、微細な軟骨損傷が一因であり、加齢に伴い増加し、軟骨が変性・消失し関節症を発症する。現存の治療は対症的であり、損傷軟骨を再生・修復する直接的な治療法は確立されておらず、軟骨損傷に始まる病態変化を極早期に同定する技術はない。光イメージング技術は、生体への安全性が高く、造影剤を必要としないため早期の臨床応用が現実的である。また、医療現場で用いられているMRIやPETなどの画像診断技術と比較して、高い空間分解能を有するため、関節症極初期の微小変化を可視化でき、早期診断に用いることができる。本研究では、変形性関節症をはじめとする軟骨変性疾患の新規診断法の確立と病態解明を目指し、ラマン分光分析や第二高調波発生 (SHG)など非線形光学効果を利用し無染色イメージング技術を基盤とする軟骨変性疾患の基礎的解析を行い、臨床応用へと展開することを目的として、変形性関節症モデルマウスの軟骨基質における分子ダイナミクス解析を行った。これまでの研究で、2光子励起顕微鏡を用いて軟骨基質のSHGの信号強度や分布、軟骨細胞の動態を計測することによって、軟骨変性の進行度を評価できることを明らかにし、論文発表している。続いて、無染色で生体分子の組成変化をとらえることができるラマン顕微鏡を用いた変形性関節症モデルマウスにおける軟骨基質の分子動態をex vivoにて行った結果、実験群とコントロール群の大腿骨遠位端の関節軟骨表面において、肉眼所見では変化がみられなかった軟骨変性を鋭敏に捉えることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極初期の関節症における軟骨基質変化の経時的な相関性を明らかにするためには、ラマン分光法や第二高調波発生イメージングによる軟骨基質表面の観察が必要不可欠であり、変形性関節症モデルマウスのex vivo解析による検証がおおむね完了したので、計画通り順調に研究が進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
ラマン分光法によって観察された組織を、病理組織学的にも軟骨基質の変性の程度を評価することで、病理組織学的にカテゴライズされた軟骨変性と光イメージング技術によって観察される変化との相関解析を行う。また、免疫染色およびRT-PCRによる蛋白、mRNAの発現解析を行い、軟骨基質のラマンスペクトル変化から軟骨変性のメカニズムを推測し、予防および治療にも役立てる。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の進捗状況の都合上、昨年度中に行う実験が今年度に予定された。 その試薬の購入に充てる予定である。
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