研究課題/領域番号 |
18K19938
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
長瀬 健一 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (10439838)
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研究分担者 |
金澤 秀子 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (10240996)
綾野 絵理 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 研究員 (10424102)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 再生医療 / 細胞組織 / ナノ粒子 / 酸素 / 虚血 |
研究実績の概要 |
現在、細胞を体内へ移植する事で治療を行なう再生医療が新たな治療法として注目を集めている。特に、生体外で細胞の凝集塊(スフェロイド)や、シート状の細胞シートなどの細胞組織を生体外で作製し、移植を行なう治療法が効果的な治療法として用いられている。しかし、活性の高い心臓の筋肉の細胞や、肝臓の細胞を用いて細胞組織を作製して移植する場合、移植した細胞組織への酸素供給が不十分となるため、虚血(ネクローシス)を起こす場合がある。そこで本研究では、生体内に移植すると酸素を発生するナノ粒子の開発をおこなう。このナノ粒子の開発により、生体内に細胞組織を効率良く移植できるようになる事が期待できる。 初年度では、生分解性高分子であるポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸-ポリグリコール酸共重合体(PLGA)を材料として用いてナノ粒子の作製条件の検討を行った。現在までに、エレクトロスピニング(電界紡糸)装置により、ナノメートルの直径を有する生分解性高分子の繊維を作製できることがわかっている。そこで、エレクトロスピニング(電界紡糸)の条件を最適化し、ナノ粒子を作製する条件の検討を行った。生分解性高分子を溶解する溶媒の選定や、生分解性高分子の濃度、高分子溶液の送液条件、印加する電圧などの条件を最適化する事で比較的粒子径の小さいナノ粒子を作製する事に成功した。 二年目以降は、酸素を発生させる化学物質のナノ粒子への担持を行なう。また、作製した酸素産生ナノ粒子の生体外での酸素の産生速度を測定する。これにより、酸素産生ナノ粒子の最適な粒子径や化学物質の担持条件を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の検討により、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸-ポリグリコール酸共重合体(PLGA)などの生分解性高分子を原料とし、電界紡糸(エレクトロスピ二ング)法の使用溶媒、高分子濃度、送液速度、印加電圧、シリンジとコレクターの距離などの諸条件を検討した。これにより、生分解性高分子を原料としたナノ粒子を作製する条件を確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度までに、生分解性高分子を材料としたナノ粒子の作製を行なう事ができた。そこで、平成31年度はナノ粒子に酸素を酸素を産生させる化学物質を導入する検討を中心に行う。また、作製したナノ粒子の分解速度、酸素産生速度などの評価を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、購入予定の機器であった高電圧印加装置を、所有していた電界紡糸装置にて代替することができた。これにより、平成30年度の使用額が少なくなった。平成31年度は繰り越しになった額を試薬購入費として使用する予定である。
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