当初計画の超音波応答性ガスについてパーフルオロブタンからペルフルオロヘキサン(PFH)に変更し、PFHナノ液滴(PFH-ND)を調製した。PFH-NDの調製法は簡便で、扱いやすさがある。周波数1MHzと5W / cm 2の強度の超音波によって液滴から気泡(PFHバブル)へ誘発できることができた。マウスにPFH-NDを尾静脈投与したところ、PFHは血中循環から徐々に消失し、消失半減期は43.3分であった。 マウスにPFH-NDを尾静脈投与し、マウスの頸動脈について超音波造影を行ったところ、有意なコントラスト増強を得た。ナイルレッド(NR)を疎水性薬物モデルとしてPFH-NDに組み込んだNR-PFH-NDを調製し、マウス腺癌細胞株C26担がんマウスに尾静注後、腫瘍部位に治療用低強度超音波(1MHz、5W/cm2)すると、NRの取り込み増強が示された。これらの結果より、PFH-NDは1MHzの超音波照射によって液滴から気泡のPFHバブルに変化し、超音波造影とバブルのオシレーションによる血管開口によって、超音波照射部位に薬物(NR)を送達できることを示した。
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