研究課題/領域番号 |
18K19948
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
田中 佑治 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任准教授 (40625513)
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研究分担者 |
大澤 重仁 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 助教 (30780663)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 温度応答性高分子 / 生体親和性高分子 / 眼圧調節 |
研究実績の概要 |
2021年度は、前年度までの検討結果を踏まえて開始した眼圧制御を目的とした新しい薬剤の研究開発を中心に研究を進めた。前年度までに出願した屋内特許を国際特許を出願するために、再現性の確認や成功率を改善させるための基礎検討等を進めた。具体的には、温度応答性を有す生体親和性高分子2種類(温度応答性を有す生体親和性高分子と、同様の温度応答性を有す生体親和性高分子に別の水溶性を有す生体親和性高分子を化学結合した分子)を新規合成して、それぞれ単体の眼圧調整効果を家兎を用いた動物実験で検証した。しかし、単独では成功率が著しく低く、適切な眼圧調整効果はほとんど得ることがなかった。条件によっては眼内が混濁する等の深刻な副反応が生じた。そこで、2剤を混合して双方の中間の性質を有す混合剤の調整を検証することとした。体温近辺(37℃)に設定した上で顕微鏡観察したところ、2剤の混合比を変更することで、薬液の粒子サイズと水溶液への分散性を制御できることを確認した。その後、様々な混合比で調整した混合剤を家兎眼に注射して眼圧測定等を行ったところ、5回中5回、注射直後の眼圧調節効果が発揮される条件があることを確認した。この条件では、眼圧調節後の深刻な副反応は特に認められず、眼圧調節後、眼球の透明性は維持されていた。これらの知見をまとめて、JSTからの支援を受けて国際特許出願を行った。初期の眼圧調節効果に関する詳細な検証や持続性等に関しては詳細に検証できなかったため、次年度以降の課題として残った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画を変更したものの、新たな計画で想定以上の成果を得つつあるため。
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今後の研究の推進方策 |
投与直後に眼圧を高い確率で眼圧を調節できる条件を見出したものの、詳細については検証できなかった。特に経時変化や投与後の制御等を詳細に検証すると共に、必要に応じて新規化合物を合成して改良する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス等の影響で、大学間の訪問を伴う共同実験に支障が生じる等の課題が生じ、研究の進捗に影響が出たため。動物の飼育費等に使用する。
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