研究課題
PETやSPECTは、診療にとどまらず、実験小動物から臨床試験までをカバーする分子イメージング研究において不可欠な手法となった。特に近年は、PETとMRIの同時撮像などマルチモーダル同時イメージング法が注目されているが、同一視野を、PET、SPECTおよびMRIで同時撮像する方法はまだ実現されていない。そこで本研究では、次世代創薬のための分子イメージング基盤として切望される、世界初となる実験小動物用PET-SPECT-MRI同時撮像の実現に向けて、鍵となるMRI内で動作する小型・高解像度PET-SPECT兼用検出器の開発に挑戦した。PETは陽電子放出核種から約180度方向に同時発生する511keVの放射線を同時計測する。一方で、通常のSPECTは、単一ガンマ線放出核種からのガンマ線入射方向をコリメータで限定するため、PETを兼ねることができない。そこで、コリメータを使わずにガンマ線入射方向を特定できるコンプトンカメラの方法でSPECT核種を画像化することとし、PET兼コンプトンカメラの検出器を新規開発した。例えば、市販の7T高磁場小動物用MRI装置(Bruker製BioSpec70/30USR)へPET兼コンプトンカメラの検出器を適用する場合、ボア内空きスペースは内径20cmの傾斜磁場コイルと外径13cmのRFコイルの間の幅3.5cmのリング状の空間に限られる。そこで、開発する検出器は高さ3.5cm以下にする必要があるが、コンプトンカメラは散乱検出器と吸収検出器を通常離しておくため、3.5cm以下の実装は不可能とも言える。そこで、放射線感受部であるシンチレータの深さ方向にも位置弁別可能なdepth-of-interaction (DOI)検出の方法に着目し、1mm台にまで解像度を高めたDOI検出器を開発した。DOI検出器はコンプトンカメラを兼ねることができる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 5件) 備考 (2件)
応用物理
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