研究課題/領域番号 |
18KK0006
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
中川 裕 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (70227750)
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研究分担者 |
高田 明 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70378826)
松平 勇二 兵庫県立大学, 国際交流機構, 特任助教 (90649386)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | 音韻論 / 民族音楽 / phonology / musicology |
研究実績の概要 |
2018年度の主要な実績は、(1)過去に記録されたグイ音楽のアーカイブ編纂の作業開始、(2)ボツワナ大学での共同研究セミナー開催、(3)フィールドワークの実施、(4)音楽学的手法による調査方法の設計の精緻化のための討議、の4点に要約される。 (1)に関しては、1970年代~1990年代に人類学者や言語学者が、現在のボツワナ共和国中央カラハリ動物保護区内にあったグイ人の集落で収録した録音を電子化し、そこに含まれる音楽や関連するテキストの録音箇所を特定し、メタデータを録音記録に連結する目録の編纂を始めた。(2)については、研究代表者(中川)と研究分担者(松平)、研究協力者(大野仁美)がボツワナ大学を訪問し、同大学アフリカ言語文学研究科でセミナーを開催して、グイ語音韻論、グイ語文法、南部アフリカの楽器、をテーマとする研究発表をして、現地共同研究者たちおよびグイ語話者も交えた討議を行なった。(3)としては、中川と大野が文法構造にかかわる資料収集を、また、松平がグイ音楽と楽器にかかわる初期調査を行なった。松平の調査は、グイ人の音楽で現在最も頻繁に使われる楽器デング(いわゆる親指ピアノ)の製作過程の観察、デングを用いる歌(4曲)の実演の能動的参与観察、治療儀礼の音楽と舞踊の記録である。(4)の討議は、本プロジェクトのシドニー大学チームの民族音楽学者(Linda Barwick, Myfany Turpin)と日本チームの間でインターネット上で実施した。この討議によって、シドニー大学チームはグイ社会における伝統音楽衰退の現状について、日本チームは音楽学的資料収集の実際の手法について、それぞれの理解を明瞭にすることができた。また、現在のグイ社会と伝統音楽の関係というテーマに、伝統音楽の再活性化という今日的な意義をもつトピックも加わった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトは、東京外国語大学を拠点とし、シドニー大学・ボツワナ大学・兵庫県立大学・京都大学の研究者の協働によるやや複雑な研究組織をもつが、プロジェクトは円滑に始動できたと判断される。ボツワナ共和国における調査許可も今後5年間の有効期間が得られた。海外での共同セミナーにも成功し、初期調査も問題なく実施できた。 全般的に見て、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次の活動を進めて行く:(1)過去のグイ音楽記録の俯瞰調査とアーカイブ化、(2)ボツワナ大チーム・シドニー大チームとの学際的な共同研究セミナー開催、(3)海外チームメンバーとの共同現地調査の実施。 (1)には、歌だけでなく、過去に収集された韻文テキスト、物語に現れる歌、乳幼児に向ける養育者の歌的テキストの記録(録音、録画、フィールドノート)にまで対象を拡大する。(2)はフィールド調査の出張の際に訪問するボツワナ大学に加えて、日本やオーストラリアでの開催の可能性を探る。(3)については、手始めに、中川とTurpinは、グイ語の歌における音韻構造と音楽構造の関係の探求のための共同資料収集を、大野とボツワナ大学のGabanamotseは、物語収集の新手法の適用の実践を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際共同セミナーがボツワナ大学での開催となり、セミナー出席とフィールド調査と兼ねた1度の出張で済ますことができたので、2018年度の旅費を節約することができた。このおかげで2019年度以降の調査規模の拡大を検討することができる。また、2018年度の初期調査のためには、現有機器で妥当であったため、新規購入をしなかった。そのため、物品費に余裕がでた。新しい機器の選定と購入は2019年度以降にシドニー大学チームの音楽学者の助言を得て行う計画である。
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