研究課題/領域番号 |
18KK0007
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯田 祐子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80278803)
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研究分担者 |
星野 幸代 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (00303587)
中谷 いずみ 二松學舍大學, 文学部, 准教授 (10366544)
笹尾 佳代 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (60567551)
小泉 京美 武庫川女子大学短期大学部, 日本語文化学科, 講師 (70779206)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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キーワード | 女性雑誌 / 東アジア / 近代 / 読者 / メディア |
研究実績の概要 |
2019年度は、国内での研究会を三回行った(いずれも於名古屋大学)。第二回(2019.7.28)は、飯田祐子「日本左翼女性雑誌の展開」、張文聰「『台湾婦人界』について」、楊佳嘉「中国での資料調査について」の報告を行い、日中の女性雑誌に関する先行研究の動向の把握や復刻・データベース化の状況を行うとともに、台湾の雑誌について検討した。第三回(2019.9.22)は、星野幸代「『婦女生活』について」、魏晨「満洲と女性雑誌」、飯田祐子「希望社『泉の花』について」の三つの報告を行い、中国、満洲、日本の雑誌について検討した。まだ第4回(2019.12.22)には、下岡友加(広島大学)を招き「『台湾愛国婦人』の性格―斎藤實記念館蔵書を踏まえて―」の報告によって台湾近代における女性雑誌について知見を得るとともに議論を行った。 2020年2月には台湾にて共同資料調査を行った(21、22日)。21日は、国立台湾図書館にて、台湾総督府関連書物を中心に所蔵資料や国立台湾図書館オンライン・データベースの現状について国立台湾図書館編審の解説を得るとともに意見交換を行い、中央研究院臺湾史研究所にて、研究所附属トウ案館所蔵の日治時期台湾女性関連資料について調査を行い、また研究所在籍の近代女性史研究者と座談会を開催した。22日は国立台湾図書館にて女性雑誌関係の調査を行った。当初の予定では、台湾政治大学にて日台合同研究会を開催し、講演と3本の研究報告をもとに、日台の女性文学研究者による合同討議を行う予定であったが、新型コロナウィルスの影響で会場となる政治大学が利用できず、研究会については延期となった。 また成果報告として「東アジア日本研究者協議会(EACJS)第4回国際学術大会」(2019.11.2、台北福華文教会館)にて、4つの報告からなるパネル「「1930年代における東アジア女性雑誌の比較研究」を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体として概ね計画通りに進行している。2019年度も引き続き地域毎に担当を振り分け、計画に従って、日本を飯田祐子・中谷いずみ・笹尾佳代が、中国を星野幸代(および楊佳嘉)が、満洲を小泉京美が、また韓国を研究協力者・孫知延(および張ユリ)が担当し、台湾を呉佩珍(および張文聰)が担当した。2019年度は、3回の研究会によって、個別の雑誌について検討した。日本については、『泉の花』『働く婦人』『女人芸術』『婦人戦線』、台湾については『台湾婦人界』『台湾愛国婦人』、中国については『婦女生活』『玲瓏』について具体的に分析を進めた。 本研究では、①女性表現者・女性知識人の文化生産の同時性と地域固有性、②〈ジェンダー・セクシュアリティ構造〉と〈公/私構造〉、③内部/外部の構成とジェンダー化という三つの課題を掲げているが、現段階では、雑誌毎にそれぞれの特徴の解明を行っている。将来的にそれらを統合していくが、まずは個別の事例を集積することが必要であり、その点で順調に進行している。また、成果報告も「東アジア日本研究者協議会(EACJS)第4回国際学術大会」(2019.11.1-2、台北福華文教会館および台湾大学)にてパネル発表を行い、5つの雑誌について報告した。 また、共同資料調査としては、2019年度に計画していた台湾での調査を、新型コロナウィルス感染拡大の影響があったが予定通り実施することができた。先行研究がほぼないと思われる商業女性雑誌の存在が確認されるなど、有意義な調査を行うことができた。調査先の国立台湾図書館、中央研究院臺湾史研究所では、台湾の女性近代史研究者および女性文学研究者との意見交換を行い、本研究課題の一部である女性表現者・知識人、女性雑誌に関する地域横断的な研究ネットワーク形成に関して、具体的な進展を得た。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度も引き続き、個別の雑誌分析を進める。具体的には満洲関係として『女性満洲』、台湾関係として『台湾婦人界』および『婦人と家庭』の分析を予定している。刊行の背景、執筆者の調査、記事内容の傾向などを明らかにする。国内で研究会を2度開催し、東アジア他地域についての知見と合わせて比較検討を行う(7月、12月、於名古屋大学あるいはオンライン)。国外については、2019年度に延期となった台湾での日台合同研究会(台湾研究者による講演、日本・台湾研究者による報告3本、全体討議の構成)を秋以降に実施し、また合わせて国立台湾図書館における調査を行う。加えて、2020年度の共同資料調査としては、韓国を訪問する計画をたてている。韓国国立中央図書館はじめ朝鮮半島で刊行された近代女性雑誌を多数所蔵している雅丹文庫などを中心に調査を行う。また慶熙大学校にて日韓合同研究会を開催し、韓国の女性文学・女性雑誌研究者との連携を図る。ただし、これらの台湾・韓国訪問の具体的な実施時期については、新型コロナウィルスの感染拡大による海外渡航の制限があるため、現在未定である。 また基礎作業として計画している〈総合雑誌、文芸雑誌、左翼雑誌、機関誌〉に分類したリスト作成については、2019年度にはあまり進行させることができなかったので、今後、重点的に進めていく。その際、各地域の主要雑誌に関しては重要項目の抽出など、内容を広く把握するための方法についても検討を進める。 また研究体制については、2020年度より、星野幸代が分担している科研費の役割業務(中国の近代女性雑誌、とくに『婦女雑誌』の分析)を終えたため、研究分担者から外れる。また韓国についての研究体制を強化するため、韓国文化のセクシュアリティ問題および日韓近現代文学比較の研究実績がある光石亜由美(奈良大学)を、韓国近代女性雑誌分析担当の研究協力者として迎える。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度に台湾で行う予定であった日台研究者合同の研究会が、新型コロナウィルス感染拡大によって、2020年度に延期になったため、PCおよび書籍等の購入を年度末に計画していたのを取りやめ、2020年度の旅費に当てることとした(研究会に合わせて国立台湾図書館での調査も実施する)。
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