| 研究課題/領域番号 |
18KK0008
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| 研究機関 | 神戸大学 |
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研究代表者 |
増本 浩子 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10199713)
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| 研究分担者 |
Grecko Valerij 神戸大学, 国際文化学部, 非常勤講師 (50437456)
八木 君人 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (50453999)
楯岡 求美 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (60324894)
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| 研究期間 (年度) |
2019-02-07 – 2022-03-31
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| キーワード | トビリシ・アヴァンギャルド / 多言語多文化主義 / コスモポリタニズム / 亡命文学 / アーカイブ調査 / ソ連映画 |
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| 研究実績の概要 |
1917年から21年にかけての独立運動と第一次民主共和国の時代、ジョージアの首都トビリシにはヨーロッパ各地から芸術家が集まり、様々に連携しながら活動を展開するユニークでコスモポリタン的な文化状況が生まれて、特に国際的アヴァンギャルド芸術運動に大きな影響を与えた。本研究の目的は、まだほとんど手つかずのまま各所に散逸している資料を発掘・調査することにより、当時のトビリシの多言語多文化状況に立脚したアヴァンギャルド芸術の全体像を把握し、国際的アヴァンギャルド芸術運動の歴史に占める位置と影響関係を明らかにすることである。研究計画の柱となるのは、①トビリシでの歴史的資料調査、②ジョージアおよびヨーロッパ諸国のアヴァンギャルド研究者を交えた研究会での討議、③学会・シンポジウム・学術誌等での研究成果の公表である。
交付決定が2019年2月末と遅かったため、2018年度はトビリシでの本格的な調査に先立ち、資料の共有と意見の交換を円滑に行うための体制作りを行うことが課題だった。ジョージア側の中心的な研究協力者であるアレクサンダー・カルトージア教授（トビリシ国立大学）を通じて、トビリシの研究協力者にレオニゼ文学博物館での資料予備調査を依頼した。また、カルトージア教授と研究代表者の増本、分担者のグレチュコが同時期にドイツ・トリーア大学を訪問する別用務があったため、その機会を利用して今後の作業の進め方等についての打ち合わせを行った。さらに、カルトージア教授は2019年3月末に日本学術振興会外国人短期招へい研究員として来日したため、分担者の楯岡が中心となって、3月28日と29日の両日、川崎市市民ミュージアムにおいてソ連初期の映画に関する研究会と国際シンポジウムを開催した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付決定が2019年2月末と遅く、2018年度の実質的な研究期間は約１ヵ月しかなかったため、日本側の研究者グループがトビリシに渡航して調査することができなかった。
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| 今後の研究の推進方策 |
カルトージア教授が日本学術振興会外国人招へい研究者として東京大学に滞在している2019年5月末までの間に日本国内で研究会を開催し、情報の共有を図るとともに意見交換を行う。また、現地での調査を効率的に進めるため、トビリシの研究者に資料予備調査を依頼する。日本側研究者全員が毎年2週間程度トビリシに滞在して、現代歴史博物館、文学芸術アーカイブ、レオニゼ文学博物館、中央文書館等を訪問し、歴史的資料を体系的に調査する。当時トビリシで活動していた芸術家の親族等、関係者とも可能な限りコンタクトをとり、情報提供を求める。調査した資料をもとに、各国出身の芸術家たちがナショナリティを超えてどのようなグループを形成し、どのような成果を残したかを確認する。効果的に研究を遂行するために、特に重要となる3つの文化圏、すなわちロシア（担当：楯岡、グレチュコ、八木）、ドイツ（担当：増本、グレチュコ）、ジョージア（担当：楯岡、グレチュコ、八木）の文化的背景をもつ芸術家に焦点を絞る。作業の進捗状況の確認と意見交換のために年に2回程度、神戸または東京で研究会を開催する。トビリシでもワークショップを開催する。また、資料の分析にあたっては、コルネリア・イーチン教授（ベオグラード大学）等、ヨーロッパの諸大学に所属するアヴァンギャルド研究者の協力を得る。
資料を調査しながら、トビリシ・アヴァンギャルドの特殊性について考察する。その際、トビリシがアヴァンギャルド運動の中心地となったヨーロッパの大都市から遠く離れた周縁的な位置にあると同時に、ヨーロッパとアジアの接点でもあるという地理的・文化的な条件がどのような意味を持っていたかということも併せて考える。このような作業を通じて、トビリシ・アヴァンギャルドが国際的アヴァンギャルド運動の中で占める位置と影響関係を明らかにする。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
交付決定が2019年2月末と遅く、実質的な研究期間が約1ヵ月しかなかったため、申請時に計画していたことの一部しか実施することができず、また、海外渡航するための旅費や外国人研究者を招へいする費用に別予算を使用したために、ほとんどの研究費を次年度に繰り越すことになった。
2019年度には研究の遅れを取り戻すべく、日本側研究者がなるべく複数回ジョージアに渡航してアーカイブ調査を行い、現地の研究者とともにワークショップを開催する（外国旅費）。ジョージアでの資料調査を効果的に行うためには現地の研究者の協力が不可欠であり、謝金（資料予備調査と専門的知識の提供）が必要となる。また、資料の分析にあたっては、ヨーロッパの諸大学に所属するアヴァンギャルド研究者の協力を得る(招へい旅費）。日本側の研究者が定期的に集まって作業の進捗状況を確認し、調査内容に関して意見交換を行う（国内旅費)。
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