研究課題/領域番号 |
18KK0009
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
乾 秀行 山口大学, 人文学部, 准教授 (10241754)
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研究分担者 |
池田 潤 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60288850)
高橋 洋成 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (90647702)
仲尾 周一郎 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 助教 (10750359)
林 由華 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 言語変異研究領域, 特別研究員(PD) (90744483)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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キーワード | エチオピア / 少数言語 / ドキュメンテーション / 母語教材 / 社会言語学 |
研究実績の概要 |
本研究はエチオピア少数言語を対象に、エチオピア人研究者と共同で現地調査を行い、①文法記述、②民話などのコーパスを動画及び音声で保存し、動画解析ソフトELANを用いてIPA(国際音声記号)による音転写、英語・アムハラ語への翻訳、形態素のグロス作成、③収集したドキュメンテーションや語彙を基にして母語教材(読み物テキストや絵付き単語集等)を作成して現地で出版し、母語話者に提供することを目的としている。本年度の研究実績は以下のとおりである。 1.乾(北オモ系バスケト語)、高橋(南オモ系ハマル語・バンナ語)、仲尾(ナイルサハラ系ベルタ語およびベニシャルグル・アラビア語)、エチオピア人研究者モガス(ナイルサハラ系ニャンガトム語)が現地調査を実施し、文法記述、ドキュメンテーション作成を行った。 2.乾と高橋は、エチオピア人研究者4名(モガス、ビニアム、ムルゲタ、ヨハネス)と今後3年間の研究計画とエチオピアにおいてどのような形で少数言語の母語教材を提供するのかについて協議を行うと共に、共同研究で用いる録画・録音機材の使用方法、ELANを用いたデータ収集法に関して説明を行い、少数言語のドキュメンテーション作成の準備を完了させた。 3.林はジジガ大学アフメッド氏とクシ系ソマリ語のドキュメンテーション作成を共同で行うための協議を行った。 4.高橋は現地情勢などを情報交換するためのサーバを整備した。 5.エチオピア諸語研究会を実施し、乾、池田、高橋、仲尾、林、研究協力者の岩月(名古屋大学院生)、原(筑波大学院生)、ゲブリエル(筑波大学研究生)が研究発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
採択時期が半年遅れたことで今年度は実質半年の研究で、日程調整が難しく、日本人研究者及びエチオピア人研究者共に現地調査を行えたのは併せて4名であった。次年度以降については、研究計画をしっかりと立てて、適切に現地調査を行える体制を整えると共に、エチオピア人研究者とも今後3年間の綿密な打ち合わせを行い、研究の道筋を立てることはできた。
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今後の研究の推進方策 |
1.次年度は年度初めから予定通り現地調査を行えるように計画している。 2.次年度後半には、エチオピア人研究者2名を招聘し、京都大学と東京外国語大学でドキュメンテーションや少数言語の母語教材に関するワークショップを開催する準備を行っている。 3.エチオピア人研究者と共同で利用する録画・録音機材をアジスアベバ大学に整備したので、現地調査の際には少数言語のドキュメンテーションを作成できる環境にある。 4.次年度は予定している海外調査を確実に実施し、それぞれの研究者の目的に応じた文法記述、語彙などのデータ収集、ドキュメンテーション作成の作業を推し進める。 5.次年度はソーシャル・イノベーションに向けての母語教材作成のため、無文字言語の文字選択をテーマに当該言語共同体当局者と協議を行う段取りを取り決めることになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究開始が10月だったため、申請時に予定していたすべての現地調査を実施できなかったが、次年度は年度当初から計画を立て、研究が適切に遂行できるように予算措置を行った。
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備考 |
Studies in Ethiopian Languages (mirror) http://jael.info/SEL/
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