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2022 年度 実施状況報告書

翻訳から見る近世南アジアの文化多元主義

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0013
研究機関東京外国語大学

研究代表者

太田 信宏  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40345319)

研究分担者 榊 和良  北海道武蔵女子短期大学, その他部局等, 講師 (00441973)
小倉 智史  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (40768438)
置田 清和  上智大学, 国際教養学部, 准教授 (70708627)
近藤 信彰  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90274993)
研究期間 (年度) 2018-10-09 – 2024-03-31
キーワードインド・ペルシア語文学 / 翻訳 / ペルシア語写本 / サンスクリット語 / 近世インド史 / ヴァナキュラー
研究実績の概要

事業5年度にあたる本年度は、本研究課題が対象とする近世南アジアの地方政権支配地域における翻訳活動とその成果である翻訳文献に関する調査を進めた。新型コロナ・ウイルス感染症の影響により、研究計画の大幅な見直しを余儀なくされてきたが、本年度は影響が依然として残るものの、状況が許す範囲で、これまでの遅れを取り戻すべく、各地での文献調査、さらには、史料収集を行った。国内の研究分担者、本研究課題が連携するPerso-Indicaプロジェクトのメンバー、並びに、近世南アジア文献の国内外の研究者と共同して、南アジア各地、さらには、南アジア域外の図書館・文書館において、文献の調査収集を行った。
また、これまでに収集した関係文献の読解と分析を進め、近世南アジア、なかでも、ムガル帝国の視点から見ての地方における翻訳活動の特徴として、サンスクリット語やペルシア語といった当時の南アジアの普遍言語から地域言語への翻訳が活発であったことが認められた。その一方で、「翻訳」には、逐語的な、今日的な意味でも「翻訳」と呼ぶのがふさわしいものから、かなり自由な翻訳、さらには、「底本」との対応関係も曖昧な「翻案」まで、様々なものが含まれ、これはペルシア語への翻訳文献の「翻訳」についてもある程度まで当てはまる。こうした「翻訳」の多様性を、文献の性格・内容、地域、時代、翻訳者・想定された読者の社会的出自などと関連付けて考察する必要性を確認した。さらに、普遍言語であるペルシア語の文芸・学芸が南アジアの諸地方に波及・浸透することの意義を歴史的に考察するうえで、翻訳文献にとどまらず、文芸・学芸に関わるペルシア語の概念、用語、範疇が地域言語に受容されていく過程に着目することの必要性についても、確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナ・ウイルス感染症の影響により、研究計画の大幅な見直しを余儀なくされてきた。本年度も影響が依然として残る中、遅れを取り戻すべく文献の調査収集を積極的に行ったが、文献の読解と分析、それを踏まえたうえでの本研究課題の目的である近世南アジアの文化多元主義の考察とその成果の共有は不十分にとどまった。

今後の研究の推進方策

これまでに行った文献の調査・収集の成果をとりまとめるために、オンラインも活用して、研究会、ワークショップを開催する。

次年度使用額が生じた理由

(理由)新型コロナ・ウィルス感染症の影響により計画から遅れていた文献の調査収集を積極的に進めたが、時間的に制約により、それらの成果を取りまとめるまでに至らなかったため。
(使用計画)研究成果の取りまとめとなる研究会、ワークショップを開催し、その参加者の旅費などに使用する。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件)

  • [国際共同研究] 社会科学高等研究院(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      社会科学高等研究院
  • [雑誌論文] スーフィーの直観知とブラフマンの知2023

    • 著者名/発表者名
      榊和良
    • 雑誌名

      印度學仏教學研究

      巻: 71-2 ページ: 33-39

    • 査読あり
  • [雑誌論文] イギリスを脅かした一八世紀南インドの地域政権2022

    • 著者名/発表者名
      太田信宏
    • 雑誌名

      アジア人物史

      巻: 8 ページ: 383-445

  • [雑誌論文] Nurbakhsh, Muhammad2022

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ogura
    • 雑誌名

      Encyclopaedia of Islam THREE

      巻: 1 ページ: 139-142

  • [雑誌論文] Nurbakhshiyya2022

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ogura
    • 雑誌名

      Encyclopaedia of Islam THREE

      巻: 1 ページ: 142-146

  • [雑誌論文] Beyond the “wonders of India” (‘aja’ib al-hind): Yogis in Persian medico-alchemical writings in South Asia2022

    • 著者名/発表者名
      Fabrizio Speziale
    • 雑誌名

      Bulletin of the School of Oriental and African Studies

      巻: 85-3 ページ: 423-444

    • 査読あり
  • [学会発表] スラトラーナ攷:神の鎧か西夷の号か2023

    • 著者名/発表者名
      小倉智史
    • 学会等名
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所基幹研究「「記憶」のフィールド・アーカイビング:イスラームがつなぐ共生社会の動態の解明」研究会
  • [学会発表] 前近代インドにおける一元論とスーフィズム2022

    • 著者名/発表者名
      小倉智史
    • 学会等名
      第61回現代中東イスラーム世界・フィールド研究会
  • [学会発表] Non-Muslim Heroic Conquerors in Persian Historical Narratives: The Cases of Indic Rulers2022

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Ogura
    • 学会等名
      Der 34. Deutscher Orientalistentag
    • 国際学会
  • [学会発表] アクバル版Laghuyogavasisthaペルシア語訳における翻訳者ファルムリーの思想的立場:サリーム版との比較を中心に2022

    • 著者名/発表者名
      小倉智史
    • 学会等名
      インド思想史学会第29回学術大会
  • [学会発表] Interrelations among Various Versions of the Persian Hamzanama2022

    • 著者名/発表者名
      Nobuaki Kondo
    • 学会等名
      13th Biennial Iranian Studies Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] スーフィーの直観知とブラフマ・ヴィディヤー2022

    • 著者名/発表者名
      榊和良
    • 学会等名
      日本印度学仏教学会
  • [学会発表] Scholars Won’t Get It but Devotees Will: A Contested Place of Devotion in the History of Sanskrit Aesthetics2022

    • 著者名/発表者名
      Kiyokazu Okita
    • 学会等名
      Vaishnavism as Fine Literature
    • 国際学会
  • [学会発表] When Krsna is a Villain and Kamsa a Hero: Radha’s Moral Discourse in Baru Candidasa’s Srikrsnakirtana2022

    • 著者名/発表者名
      Kiyokazu Okita
    • 学会等名
      The 14th International Conference on Early Modern Literatures in North India
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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