研究課題/領域番号 |
18KK0017
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大澤 孝 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (20263345)
|
研究分担者 |
山口 欧志 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (50508364)
齊藤 茂雄 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 日本学術振興会特別研究員 (70634690) [辞退]
大谷 育恵 京都大学, 白眉センター, 特定助教 (80747139)
|
研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
|
キーワード | 突厥時代 / 石囲い遺跡 / 画像石 / 突厥碑文 / 東モンゴル / チョイチンノール遺跡 / スバルガン・デプト遺跡 / ウラン・チョロート遺跡 |
研究実績の概要 |
本年度では、モンゴル国ヘンテイ県バヤンオボー郡のヘルレン河左岸の草原に位置する突厥第二可汗国時代のチョイチンノール遺跡を、モンゴル科学アカデミー考古学研究所と共同発掘した。本遺跡は、これまでのモンゴル国における突厥時代の遺跡としては、もっとも北寄りに位置する遺跡のひとつである。 本遺跡では、通常、方形の石囲いの北側の板石のみが本来の位置にたっており、東側の板石が、中央から南側に横倒しにされていて、突厥の石囲い遺跡に特有の石人や当方に連なるバルバル石は、見当たらなかった。こうした状況から、我々は、本遺跡は、古い時代に盗掘にあったと推定する。なお、石人の代わりに、南側に仰向けて放置された石版には、縁を格子状の文様で囲まれた方形の中に、ゲルが中央に描かれ、その中に男女の牧民が胡座をかいて正面を向いた姿が陰刻されていた。またその右側には、雲の形をした文様の下に、ゲルを荷車に乗せてひく双こぶラクダ像が陰刻されている、また向かってゲルの左手には、馬かラクダの頭を手綱で引く、人物像の断片が残されている。 また、石囲いの中央付近で盗掘された際に彫られた穴(深さ約1m、直径70cm)の中には、切断された石碑断片が埋まっていた。表面は摩滅がひどいが、何行かに渡って突厥文字の痕跡が窺えた。 今回の調査では、本遺跡の中央を十字で東西幅8m、南北幅8mの空間をトレンチを掘りながら、調査を行った。地層調査や空撮、計測なども行った。そのトレンチの東側、南側、東側からは、深さ30cmほどの地点から馬の頭骨の一部や体の一部位が埋葬されているのが判明した。おそらく本遺跡の被葬者が葬られる際に、犠牲として捧げられたものと考えられる。またここから5km北東に位置する突厥時代のスブルガン・デプトの石囲い遺跡の表面調査、また14個の方形遺跡が弧状に配列するウランチョロート遺跡の空撮も実施した。
|