研究課題/領域番号 |
18KK0021
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
国武 貞克 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 主任研究員 (50511721)
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研究分担者 |
佐藤 宏之 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50292743)
夏木 大吾 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (60756485)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | カザフスタン / 中央アジア / 後期旧石器時代 / 北回り拡散ルート / 遺跡踏査 / 発掘調査 / 多層遺跡 / 新規発見遺跡 |
研究実績の概要 |
アフリカで進化した現生人類がアジアに至るまでの拡散ルートは、アラビア半島から海岸部を伝って東南アジアに至る南回りルートと、中央アジアを経由してユーラシア北部を経由した北回りルートの2つが想定されている。このうち日本列島に大きな影響を及ぼした北回りルートの実態解明は先史考古学上の世界的な中心課題のひとつとなっており、そのカギを握るのが中央アジア西部の情報である。とくにユーラシア中央部で広大な範囲を占めるカザフスタンでは重要な遺跡の存在が予測されるものの組織的な調査が少なく実態が不明である。このため本研究課題では、カザフスタン共和国国立博物館及びカザフ国立大学と共同で、現生人類が中央アジアに到達して拡散した時期とみられる5~3万年前の遺跡を新規に発見して発掘調査を実施する。徹底した野外調査によりオリジナルな資料を新たに獲得することを目的としている。 カザフスタンにおいて収蔵資料調査を予定していたが、本務と共同研究機関の日程の都合がつかず実施することができなかった。 このため1月にカザフスタン2研究機関と協力機関である東大考古学研究室とともに、来年度から5か年にわたる具体的な野外調査計画について協議を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ユーラシア中央部で広大な範囲を占めるカザフスタンでは重要な遺跡の存在が予測されるものの組織的な調査が少なく実態が不明である。本研究課題では、カザフスタン共和国国立博物館及びカザフ国立大学と共同で、現生人類が中央アジアに到達して拡散した時期とみられる5~3万年前の遺跡を新規に発見して発掘調査を実施する。徹底した野外調査によりオリジナルな資料を新たに獲得することを目的としている。 研究初年度である2018年度には、交付決定した冬以降は、季節的に野外調査が出来ないため、海外共同研究機関に赴いて収蔵資料調査を予定していた。しかし、本務と共同研究機関の日程の都合がつかず実施することができなかった。 そのため、これまでに収集していたカザフスタン後期旧石器の図面類や共同研究者と共同執筆した論文等をまとめて、カザフスタンにおける後期旧石器文化の研究の総括的な研究報告書の作成を実施し、2018年度末に刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度からは、海外共同研究機関であるカザフスタン共和国国立博物館とアル―ファラビ記念カザフ国立大学とともに、本格的な野外調査を実施する予定である。カザフスタン共和国国立博物館とは、カラタウ山地においてビリョックバスタウ・ブラック1遺跡の発掘調査を実施する。発掘調査は、現地にベースキャンプを設定して、労働者を雇用し、精密な発掘調査を実施する予定である。またカラタウン山地東麓の平原地帯において、後期旧石器時代の堆積層を持つ遺跡を探索し、新たな後期旧石器時代遺跡の存在を把握する。クズルタウ丘陵周辺の小河川跡に沿った旧河岸段丘沿いで後期旧石器時代の石器散布地を確認しているため、地点を選んで試掘調査を実施し、後期旧石器時代の石器包含層を把握することを目的とする。アル-ファラビ記念カザフ国立大学とは、天山山脈北麓において新しい後期旧石器時代遺跡の発見を目的とした遺跡探索を実施する。アルマトイ州西部のカステック山脈北麓の小河川沿いの河岸段丘を主な踏査対象地とする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付決定以後に、研究計画では海外共同研究機関に赴いて資料調査を計画していたところ、本務と共同研究機関の日程の都合が合わず、実施することができなかったため。
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