研究課題/領域番号 |
18KK0024
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
外川 昌彦 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70325207)
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研究分担者 |
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (80272441)
日下部 尚徳 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (60636976)
杉江 あい 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (10786023)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | バングラデシュ / 地域研究 / 民族誌的研究 / イスラーム化 / 社会変動 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究計画の初年度として、バングラデシュのイスラーム化をめぐる国際共同研究にむけたメンバーによる打ち合わせ会合と、関連する資料の収集や研究者による報告や情報交換のための研究会を中心とした活動を実施した。 特に、本計画に関わる研究報告として、本年度は、国内外の学会などでの報告会を開催した。 具体的には、第1回研究会として、2018年11月26日には、Social Dynamism and Islamic Culture in Bangladesh と題したセミナーを広島大学で開催し、近年のイスラーム化と市民運動の関係について議論を行った。第2回研究会は、2018年12月26日に名古屋大学にて、打ち合わせ会合を行うとともに、「戦争犯罪者をめぐる今日の歴史問題―バングラデシュの独立戦争と国際戦争犯罪法廷の裁判記録から」と題し、外川昌彦を報告者として研究報告を行った。第3回研究会は、現地拠点であるダッカ近郊の国立ジャハンギルノゴル大学人類学部にて、Revisiting An Ethnography by the late Professor Hara Tadahiko on the Gohira village, Chittagong, Bangladeshと題した研究会を、2019年1月8日に開催し、特にチッタゴン県を中心とした地域社会のムスリム農村社会の長期的な社会変動の検証可能性について議論を行った。2019年2月1日には広島大学にて、Aditi Huqを報告者として、バングラデシュの市民運動の社会的役割に関する研究会を開催した。2019年2月20日には第5回研究会として、「バングラデシュ農村におけるイスラーム化の概念的枠組」と題した杉江あいの報告と、「バングラデシュのガロ社会における社会関係の重層性と女性」と題した上澤伸子を報告者として、東京大外で開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は研究の初年度として、2018年10月から2019年3月までの実質的には半年の研究機関となっているが、その中で、今後の研究計画に関するメンバーの問題意識や研究課題の共有をはかり、研究計画の推進についての調整を行うとともに、関係者による研究報告会を継続的に開催することで、研究計画の進捗を見ることができたと考えられるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画の推進については、特にバングラデシュの地域社会に焦点をおいた研究計画を実施するために、現地拠点機関である国立ジャハンギルノゴル大学人類学部のロンジョン・シャハ准教授を中心とした現地調査の遂行に取り組むものとする。具体的には、2019年5月より、バングラデシュ・チッタゴン県ラウザン地区ゴヒラ村を中心とした村落社会の予備的な調査を組織し、その多角的な共同研究の可能性について検証するものとする。その成果に基づき、地域社会の長期的な変動に関する調査の可能性を検証し、2019年7月以降に、引き続き現地調査を継続するものとする。また、チッタゴン地方の地域社会の社会変動に関する多様な分野の論考を編纂することで、英語による論文集の準備を進めるものとする。具体的には、2019年10-12月ごろには、本課題に関する現地でのセミナーを組織することで、課題の共有の研究成果の取りまとめを進めるものとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究計画の初年度として、バングラデシュのイスラーム化をめぐる国際共同研究にむけたメンバーによる打ち合わせ会合と、関連する資料の収集や研究者による報告や情報交換のための研究会を中心とした活動を実施した。しかし、年度の途中からの研究計画の実施となり、年度末に向けて各メンバーの調査の予定を組むことが難しく、主に研究会の開催を通した議論の共有を行うことになったことがひとつの理由である。 また、現地への渡航が延期されたもう一つの要因は現地の治安情勢であり、2016年7月のダッカ・テロ事件以降、バングラデシュの治安状況は外務省の危険情報に従うとレベル2の状態にあり、すぐにその改善が期待できない状況にあり、現地調査の計画については、引き続き現地との緊密な連携の下で、慎重な計画を立てることが必要となること。また、特に、本年度の研究期間にあたる2018年12月末には、現地では5年ぶりの総選挙が実施され、その前後の現地への渡航には慎重な検討が必要になったことなどが、次年度の使用の必要が生じた理由となっている。
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