研究課題/領域番号 |
18KK0024
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
外川 昌彦 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70325207)
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研究分担者 |
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (80272441)
日下部 尚徳 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 講師 (60636976)
杉江 あい 名古屋大学, 高等研究院(環境学), 特任助教 (10786023)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | バングラデシュ / ムスリム / 社会変動 / イスラーム化 |
研究実績の概要 |
2018年10月から2020年3月までの本科研による研究会の開催は通算13回となり、特に、 本科研で主要な課題の一つとするバングラデシュ東部の農村社会変動に関する現地研究では、これまでの研究会の議論を総括する形で、国際シンポジウム(Kinship and Family of the Muslim Village Society in Bengal: Revisiting the Ethnographic Study by the Late Professor Hara Tadahiko after 50 Years: Islam and the Peasant Society of the Gohira village in Chittagong, 19th October 2019, Independent University, Dhaka)を開催した。ここでは、インド、バングラデシュ、日本の7名の研究者による報告と7名のコメンテーター、4人の司会者、及び、全体討論での2名のディスカッサントによる討議を行った。 その他、バングラデシュの現地研究拠点と連携した現地研究者による研究会として、バングラデシュ人留学生のセミナー(26th November 2018)、現地研究者と研究代表者の外川昌彦による報告(8th January, 2019)、及びバングラデシュ人留学生によるセミナー(1st February, 2019)を開催した。 その他、2020年2月4日にジャハンギルノゴル大学にてゴヒラ村世帯調査の集計結果報告会を行い、2020年2月7日にはダッカ大学経済学部ラフマン教授とバングラデシュの農村社会調査についての研究会を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地研究者を組織する現地研究プロジェクトとして、農村社会の世帯別基礎調査と、それを発展させた3つの現地調査プロジェクトを実施した。特に、チッタゴン県ゴヒラ村での世帯別基礎調査では、2019年1月-8月にかけて、チッタゴン大学、チッタゴン・カントンメント公立大学、及びジャヤハンギルノゴル大学の研究者、及び大学院生・大学生、のべ17名による国際共同調査を組織し、ムスリム農民世帯への悉皆調査を実施した。 また、研究者ネットワークの構築や若手研究者育成を目的として、3名の研究者を現地に派遣し、招聘研究者(Prof. Abhijit Dasgupta)による研究会を開催し、2名の非常勤研究員を雇用した。AA研の全所プロジェクト「アジア・アフリカの現代的諸問題の解決に向けた新たな連携研究体制の構築」では、文化人類学者・原忠彦教授の業績を回顧するポスター展示「50年後に振り返る南アジアの農村社会―原忠彦教授の民族誌再訪」を行い、ウェブサイトで公開した。 研究分担者による研究状況として、分担者の藤田は、タンガイル県、ラジシャヒ県、ノウガ県での若手研究者と連携した現地調査を実施し、家計費調査のデザイン設計の準備作業を進めた。日下部は、日本とイギリスに暮らすロヒンギャ難民を調査し、南アジア各国の社会開発状況の比較研究の成果をまとめた。杉江は、該当年度には出産・育児のため現地調査は困難であったが、女子教育や女性の宗教的活動に関するこれまでの研究を成果としてまとめた。 進捗状況に関わる懸念事項として、新型コロナ・ウィルス感染症問題では、2020年3月に現地拠点で予定していた現地調査と研究会の計画は延期となり、インド・デリー大学とバングラデシュ・ジャハンギルノゴル大学で予定していた研究打ち合わせ等が中止となった。 以上から、来年度に向けた懸念事項は残されるが、本年度の研究の進捗状況については、おおむね順調に進展したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方法については、新型コロナ・ウィルス感染症問題の影響を受けて、2020年4月以降の現地調査、及び現地拠点と連携した研究会の開催については延期となっている。4月に予定していた日本からバングラデシュへの研究者の派遣と、カナダで予定していた国際セミナーへの参加もキャンセルとなり、5月以降の現地調査の予定についても、なお見通しの立たない状況となっている。 2020年度前期にかけて予定され、また現地との交渉を進めていた現地調査プロジェクトや研究会の開催については、今後の社会情勢や海外渡航の状況を注視しつつ、対応を進める必要がある。特に、現地研究拠点と連携した研究計画や現地調査に関しては、現地バングラデシュでの感染症対策の状況や現地社会の事情を踏まえながら、対応を検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ・ウィルス感染症問題の影響から、2019年度末に予定していた現地調査と現地研究会、打ち合わせなどが延期となり、次年度使用に充てることとなったため。
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