研究課題/領域番号 |
18KK0024
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
外川 昌彦 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70325207)
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研究分担者 |
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (80272441)
日下部 尚徳 立教大学, 異文化コミュニケーション学部, 准教授 (60636976)
杉江 あい 名古屋大学, 高等研究院(環境学), 特任助教 (10786023)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | 南アジア / 社会変動 / イスラーム化 / ムスリム |
研究実績の概要 |
本年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で、予定していた現地調査は延期となったが、代わりにZoomを活用して、国内外の研究者を組織したオンライン研究会やセミナーを企画し、通算7回の研究会やワークショップを行った。 具体的には、現地研究拠点のジャハンギルノゴル大学と結んだ農村社会の変容に関する研究会(6月5日)、東京外国語大学AA研の海外学術調査フォーラムでのポスター発表(6月20日)とAA研フォーラム(7月10日)、研究分担者の杉江あい、藤田幸一他による、「バングラデシュにおける金融包摂の現状と課題」と題した公開セミナー(7月20日)、観光開発についての研究会(8月4日)、ロヒンギャ難民問題についての現地拠点のワークショップ(8月7日、11月13日)などである。 その他、国際ベンガル学会との共催で、バングラデシュの独立50周年記念行事として企画された独立記念連続セミナーの中で、2022年3月26日には、元バングラデシュ日本大使の堀口松城氏による記念講演「バングラデシュの独立への日本の貢献」を行った。 現地拠点を通して組織する現地研究も、フィールドでの調査は困難な状況にあったが、それぞれに調査・研究活動を継続して実施した。2021年4月には、現地拠点代表で、ジャハンギルノゴル大学のRanjan Saha Partha教授が来日し、東京外国語大学AA研の外国人客員研究員として滞在し、9月まで共同研究を行った。その中では、本プロジェクトの成果の一部として、2021年4月に刊行された成果論集Kinship and Family among Muslims in Bengal(Masahiko Togawa et.al, eds.)について、現地拠点とオンラインで結んだセミナー(6月3日)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地研究者を組織する共同プロジェクトとして、チョットグラム県ハトハジャリ地区におけるゴヒラ村の継続調査と地域の教育状況の調査、及び、現地研究拠点を通して組織する共同調査プロジェクトを予定していたが、新型コロナウイルス感染症への対応で、2021年度は現地への渡航は実現せず、予定していた現地調査と研究会の計画は延期となった。その他、ジャハンギルノゴル大学やインド・コルカタ市のジャドプル大学で予定していた研究会や打ち合わせも中止となった。 その代わりに、現地研究拠点を通した現地研究プロジェクトを企画・実施した。また、Zoomを活用して、先述のように、内外の研究者を組織した研究会や国際ワークショップを開催する事で、現地資料の収集やプロジェクトの成果の取りまとめを行い、プロジェクトの継続的な推進に努めた。 以上から、2022年度以降も引き続き現地調査や人的交流の実施には懸念が残されるが、Zoomを活用した現地拠点との研究セミナーや現地研究者を組織した共同研究プロジェクトを推進する事で、本年度の研究の進捗状況については、おおむね順調に進展したものと考える。 具体的には、2021年の現地研究関連プロジェクトとして、チョットグラム県ゴヒラ村でのムスリム農村社会での世帯別基礎調査に基づいた集計データの分析を行い、特にゴヒラ村での公教育の普及とイスラーム教育が、人々の社会意識に与える影響について報告書をまとめた。現地拠点を通した新たな共同プロジェクトとして、Green UniversityのAhasan Habib准教授と、マダリプル県の農村世帯での集中的なサンプル調査を行い、政府学校とマドラサ学校とを対比して、イスラーム教育が農村社会に与える影響について検証した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方法については、新型コロナウイルス感染症への対応の影響を受けて、2022年2-3月に予定していた現地調査、及び現地拠点と連携した研究会の開催については延期となっている。2021年度に予定していた日本からバングラデシュへの研究者の派遣や、インドで予定していた国際セミナーへの参加もキャンセルとなった。2022年度については、7-8月にかけて3年振りとなる現地調査を準備しているが、4月時点ではなお、現地調査の予定については不透明な状況となっている。 2022年度に実施を予定し、現地との交渉を進めていた現地調査プロジェクトや研究会の開催については、今後の社会情勢や海外渡航の状況を注視しつつ、対応を進める必要がある。特に、現地研究拠点と連携した研究計画や現地調査に関しては、現地バングラデシュでの感染症対策の状況や現地社会の事情を 踏まえながら、対応を検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応で、計画に大幅な変更が生じたため。対応については、次年度の状況を注視しながら、柔軟に対応をするものとする。
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