研究課題/領域番号 |
18KK0030
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
田中 雅子 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (00591843)
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研究分担者 |
WADHWA Megha 上智大学, アジア文化研究所, 研究員 (00802505)
齋藤 百合子 明治学院大学, 国際学部, 客員教授 (10409815)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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キーワード | 移民 / 女性 / ジェンダー / 健康 / リプロダクティブ・ヘルス / SDGs / 東南アジア / 南アジア |
研究実績の概要 |
代表者と分担者は、月1回程度ミーティングを行い、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・サービス(Sexual and reproductive health service:SRHS)と、移住女性の出身国に関する文献調査に着手した。移住女性の出身国や日本以外の渡航先で販売されている避妊具・避妊薬・中絶薬などのサンプルや文献資料の収集も行った。 2019年2月17日に、国際開発学会「人の移動と開発」研究部会との共催で「日本で暮らす移住女性が抱えるセクシュアル/リプロダクティブ・ヘルス/ライツをめぐる課題」題する研究会を開催した。グローバルヘルスを専門とする産婦人科医から避妊や人工妊娠中絶をめぐる世界的な状況について知見を得た。 代表者の田中と分担者の齋藤は、移住当事者女性リーダー、医師、保健師、通訳などのサービス提供者、移住女性の出身国の医療・保健事情に詳しい研究者にキー・インフォーマント・インタビュー(KII)を行い、移住女性のSRHSニーズの多様性やサービス提供上の課題について把握した。 田中は、2019年3月12日にNPO法人ピルコンが主催した「緊急避妊薬へのアクセスの諸課題を考える」緊急院内勉強会で、移住女性の出身国ごとの避妊法の多様性と日本との相違について国連の二次資料から分析した結果を報告した。また、在日移住女性調査において参加型手法を用いるための教材を収集し、そのモデルケースとして、分担者の齋藤とともに3月10日に群馬県邑楽郡大泉町の保健師の協力を得て、移住女性の健康に関するワークショップを実施した。 分担者のワダワは、2019年3月に出身国調査としてインドに渡航し、医療関係者へのKIIを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年末の入管法改定と、東南アジアと南アジアの9ケ国と二国間協定の締結を受け、調査対象国を拡大すべく検討中である。 新在留資格の導入は各送り出し国にも影響を与えており、人の移動への影響を見極めつつ調査にあたるため、二国間協定締結国となった送り出し国の調査を延期中である。 当初共同する予定であった研究者以外にも候補者がおり、共同する研究機関ならびに研究者も再検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
国内での在日移住女性調査ならびに出身国調査とも質問票を準備してテストを行い、倫理審査を受ける。また各出身国で認可されているSRHSの種類と費用などに関する基本情報を整理する。 国内調査については、専門学校や自治体の保健師、また教会や寺院等の協力を得て参加型ワークショップを開催し、その一環としてフォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)を行う。まず、6月30日にネパール人専門学校生を主な対象として新宿区でワークショップを行うほか、神奈川県、千葉県、福岡県、沖縄県でも同種の試みを企画する。 5月から7月まで上智大学公開講座「移住女性のリアル―東南・南アジアから日本に来た女性たちの健康と子育て」を移住当事者女性リーダーや彼女たちの出身国の研究者とともに開催する。講座参加者には移住女性へのサービス提供者が含まれることから、KIIへの協力を得る。 出身国調査では、医療関係者へのKII以外に帰国女性への個別インタビューを行う。また、各国で実施されている渡航前研修の中に渡航先のSRHS情報の提供が含まれているか確認し、現地調査協力者を通じて研修内容に入れるよう働きかける。こうした活動を共に行う共同研究機関を確定し、現地ワークショップを開催する。 国内調査においては、技能実習生の到着後研修にSRHSが含まれていることになっているが、実態について確認し、現実に即した内容にするよう調査で得た知見をもとに提案をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者がタイでの出身国調査を延期したため。
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