研究課題/領域番号 |
18KK0032
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
奥野 充 福岡大学, 理学部, 教授 (50309887)
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研究分担者 |
小池 裕子 九州大学, 総合研究博物館, 専門研究員 (40107462)
田中 和彦 鶴見大学, 文学部, 准教授 (50407384)
佐藤 鋭一 神戸大学, 大学教育推進機構, 助教 (40609848)
安田 裕紀 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 講師(研究機関研究員) (50825875)
田代 崇 日本大学, 法学部, 助教 (70755165)
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研究期間 (年度) |
2019-02-07 – 2021-03-31
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キーワード | イラヤ火山 / 噴火史 / テフラ層序 / 放射性炭素年代 / 考古遺跡 / 災害 / レリジエンス |
研究実績の概要 |
2019年2月の追加採択を受けて,フィリピン国立火山地震研究所(PHIVOLCS)と国立博物館(NMP)と共同研究に関する協議を重ねてきた.同年3月には静岡県(ふじのくに地球環境史ミュージアムと富士山世界遺産センター)主催で開催された国際シンポジウム「島嶼環境文明にみる地球の未来」にPHIVOLCSとNMPの研究者も招聘し,国内の研究分担者と協力者が集まって共同研究に関する情報交換を行った.このシンポジウムでは研究代表者の奥野とNMPの共同研究者であるDizon Eusebio博士が講師として口頭発表を行っている.これらの講演内容は,Springer社のブックレットとして刊行することになっている.なお,他の参加者はポスター発表を行い,それぞれの専門分野に関する内容を紹介した. 火山に関してはPHIVOLCSと,考古学にしてはNMPと各々長年の共同研究の実績があるが,両者を統合する試みは初めてであり,両者との調整にやや時間がかかっている.いまだ現地調査は実施できていない.しかし,既存の試料10点について,この研究によってAMS放射性炭素年代測定を実施することができ,得られた年代値から約10.5 ka BP,2.5 ka BP, 1.5 ka BPの噴火があったことを確認している.噴火様式については,詳しい地質調査が必要であるが,山頂の溶岩ドーム形成に伴うブロック・アンド・アッシュ・フロー型火砕流やプリニー式噴火による降下軽石層が見られる.次年度には考古遺跡の試掘調査(2019年8月),火山体近傍での地質調査(2020年3月)を予定しており,それらによってイラヤ火山の噴火史とバタン島での被災状況を明らかにすることが期待できる状況になっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年2月に追加採択を受けて研究を開始したため,2018年度に十分な研究時間が確保できなかった.しかし,3月に国際シンポジウム(静岡市)で両国間の機関で打ち合わせを行うなど,次年度以降の体制を整えており,今後,この遅れは十分に取り戻せる見込みである.
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今後の研究の推進方策 |
2019年度の早い時期に共同研究協定(MOU)を締結し,火山地質班と考古班がそれぞれ現地調査を開始することにしている.両班間で情報交換も十分に行っており,火山地質にもとづく噴火リスクの評価と考古発掘にもとづく被災状況やその後の復旧状況から噴火災害史を明らかにしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施期間が極めて短く,多くの項目で実施が困難であった.積み残した研究も次年度以降,効率的に実施していくことが可能であると考えている.
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