研究課題
2019年4月末から5月初旬に,奥野,小池,田中,俵の4名がマニラ首都圏に出張し,フィリピン国立火山地震研究所(PHIVOLCS)と国立博物館を訪問し,共同研究協定(MOUないしMOA)の締結と調査スケジュールの調整など共同研究に関する打ち合わせを行った.さらにはPHIVOLCS所長,博物館考古学部長や副館長といった両機関の上層部への説明などを行った.これらの打ち合わせは概ね良好に進み,この後,MOUは無事に締結できた.ただし,両機関と並行して文書の調整を行なったため,最終的にひとつの文書として締結するのに苦労した.またこの結果,日程としては,まずは8月に考古遺跡の試掘調査を行い,それに合わせてトレンチ断面の観察を中心にテフラ層序の調査を進めた.バタネス州の州庁であるバスコ(Basco)の環境自然資源局環境管理経営業務部での打ち合わせの結果,陸上景観・海上景観保護地域であるため,環境保護委員会から調査許可を取得する必要性が判明した.スンゲ・トップテラス遺跡の所在するマハタオ(Mahatao)町の町長,マハタオ町内で遺跡の所在するパナタヤン村の村長にそれぞれ調査目的,調査概要を説明し,調査許可を得た.今回の発掘は調査許可関係で多くの時間を割き,予察的なものに終わったため,次回以降,本格的な発掘調査となる.2019年末~2020年3月にかけて,考古遺物の整理や火山地質学的調査を予定していたが,タール火山の噴火や新型コロナウイルスのパンデミックのために実施できなかった.テフラ層序に関しては,9月に日本火山学会(神戸大)で口頭発表,11月にインドネシア・バリ島で開催された国際会議「The 2nd International Congress on Earth Sciences in SE Asia」でポスター発表により予察的な結果を報告した.
3: やや遅れている
2020年1月にタール火山が噴火し,共同研究機関であるフィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)が緊急対応する必要があり,さらに新型コロナウイルスの世界的流行(パンデミック)によりフィリピンに行くことが困難になり,2020年3月に予定していた調査・研究を延期せざるを得ない状況になった.
2020年度も5月上旬に現地調査を予定していたが,新型コロナウイルスのパンデミックのために延期せざるを得ない状況が続いている.日本およびフィリピンの流行状況が改善し次第,共同調査および研究を再開させる予定である.それまでは室内分析作業を進める.現地の許可関係は概ね完了しているため,パンデミックが終息すれば,考古学・火山学的調査を本格的に進める.それまでは採取試料の分析と遠隔での会議などで情報共有をはかる.
8月の予察的調査を受けて,2019年末から2020年3月に現地調査を計画していたが,タール火山の噴火や新型コロナウイルスの流行により実施できなかった.
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すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)