研究課題/領域番号 |
18KK0036
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松里 公孝 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (20240640)
|
研究分担者 |
小泉 悠 公益財団法人未来工学研究所, 研究センター, 研究員 (10817307)
黒木 英充 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20195580)
大串 敦 慶應義塾大学, 法学部(三田), 准教授 (20431348)
錦田 愛子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (70451979)
今井 宏平 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (70727130)
|
研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2022-03-31
|
キーワード | 軍事政策 / ロシア / ウクライナ危機 / シリア戦争 / ドンバス戦争 / プーチン / 非承認国家 / トルコ |
研究実績の概要 |
2018年10月に事業が始まり、初年度であるため、2019年度の国際学会でパネルを組織することを中心にした国際的なネットワークの立ち上げに主な力を注いだ。その結果、6月に東京大学で開催されるスラブ・ユーラシア研究東アジア・コンフェレンスにおいては、本事業の中東・環黒海広域政治研究ユニット(今井リーダー)と「新しい戦争」研究ユニット(錦田リーダー)が中心となって、トルコ、カナダ、セルビアから研究者を招き、2パネルを組織した。11月にサンフランシスコで開催されるASEEESの年次大会では、ロシアの軍事研究ユニット(小泉リーダー)が中心となって、アメリカ、ロシア、カナダ、フランスから研究者を招き、ロシアの軍事政策、準軍事組織をテーマとして2パネルを組織した。こうした組織活動そのものが、研究の概念化の点で有益であった。 11月11日には、最初の研究打ち合わせ会議・研究会を行い、松里が2017年8月の現地調査に基づいてドネツク人民共和国の内政について報告した。 先行する科研費基盤研究B「ウクライナ動乱の総合的研究」から引き継いだウクライナのリージョン・エリートの伝記の委託調査を完了し、27州すべてについてデータが揃った。データベースとしてインターネット上で発表する。 受入額が168万円であったため、現地調査を行うことはできなかったが、分担者が別財源で活発に現地調査を行った。松里は2月にウクライナで、今井が2月にトルコに行った。錦田は、留学先のドイツや旧ユーゴスラヴィアで現地調査を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度であるため国際的なネットワーク作りに大きな力を注いだ。その作業のおかげで、2つの国際学会で4つのパネルを組織できた。その過程で、当初より海外研究協力者としてあげていた6名のうち3名(アメリカ、ロシア、トルコ)がパネリストになってくれ、当初は面識のなかったカナダ2名、セルビア、フランスの研究者計4名と協力関係に入ることができた。 分担者全員が、活発に業績を発表した。5ヶ月間の実施期間中に、23件の学術論文が発表された(近刊含む。うち2件は国際的査読論文)。先行する科研費で行われた調査に基づいた松里の論文が、Nationalities Papers誌の2018年最良論文として表彰された。 他方、実施期間が年度末に近く、実際に配分された予算が少なかったため、この財源を用いた現地調査はなされなかった。分担者は他財源で現地調査を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年度にプロポーズした2019年度中の国際会議でのパネルを確実に成功させる。2010年にカナダのモントリオールで開催されるICCEES世界大会に向けてパネルを提案する。今回は、ロシアの政策決定研究ユニットが中心になる。 研究分担者で行う内部研究会を充実させ、旧社会主義圏研究と中東研究の方法的交流を強化する。 第2年目なので現地調査を格段に充実させる。当初の計画通り、トルコ、ロシア、ジョージアでの現地調査を行う。委託調査を活用しながら、イラクのクルド人自治区とクリミアの調査を行い、これらの地域に対するロシアの軍事政策の展開をさらに明らかにする。 当初の計画では、キエヴォ・モヒラ大学(ウクライナ)で国際的な小セミナーを開く予定であったが、予算上の制約から難しいかもしれない。
|
次年度使用額が生じた理由 |
事業の開始が11月であり、その時点から現地調査を企画することが難しかったため、主に旅費に未使用金が発生した。2019年度に現地調査を強化することで、支出する。
|