研究課題/領域番号 |
18KK0044
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
浦川 邦夫 九州大学, 経済学研究院, 教授 (90452482)
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研究分担者 |
迫田 さやか 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(PD) (30780754)
神林 龍 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40326004)
橘木 俊詔 京都女子大学, その他, 客員教授 (70112000)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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キーワード | 格差 / 貧困 / 再分配 / 格差感 / 社会規範 |
研究実績の概要 |
2020年度は、人々の再分配政策に対する考え方や格差に対する意識がどのような要因と関連しているかについての指針を得るため、「格差と生活環境に関するアンケート」を実施し、約7700のサンプルからなる個票データを得た。同調査は、「国勢調査」の分布情報(性・年齢・居住地域)をもとに、サンプリングを行っている。 研究面では、Urakawa and Anegawa (2021)、Sakoda (2020)、虞・浦川 (2021)、安藤・浦川 (2021)、Kambayashi et al. (2020)、橘木・迫田 (2020)などの学術論文、共編書、著書を執筆した。高等教育での教育経験が格差感に与える影響を分析した研究 “Do the learning opportunities provided by university experiences affect preference for redistribution?- The case of Japan”は『経済学研究』に刊行予定(2021年6月)である。 研究報告については、研究代表者の浦川は、日本経済学会(オンライン開催)に参加し、論文"Income and housing poverty: Multidimensionality, heterogeneity and nonlinearity"(安藤道人氏との共著)の報告を行った。同学会では財政・社会保障に関する研究の第一人者が多く参加しており、近年の諸外国の格差・貧困の動向ならびに貧困削減に向けた政策対応の実例について幅広く学び討論する機会を得た。 今後、本年度に実施したアンケート調査の個票データを分析した論文を執筆し、海外の査読付学術誌に投稿予定である。また、格差・貧困問題に対する教育の役割を扱った研究成果の一部は、専門書に掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、人々の再分配政策に対する考え方、格差の捉え方がどのような要因と関連しているかについての指針を得るためのアンケート調査を2021年1月に実施し、データ収集を行うことができた。 研究については、Urakawa and Anegawa (2021)、Sakoda (2020)、虞・浦川 (2021)、安藤・浦川 (2021)、Kambayashi et al. (2020)、橘木・迫田 (2020)などの学術論文、共編書、著書を執筆した。 研究報告として、"Income and housing poverty: Multidimensionality heterogeneity and nonlinearity"(安藤道人氏との共著)を日本経済学会(2020年度春季大会)で報告した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルス感染症の影響を受け、2021年度以降も国外での共同研究の実施は不透明な状況にあるが、オンライン会議等の手法を用いて、当初の研究計画が予定通り行えるように努める。 2021年度は、2020年度に収集したアンケート調査の集計・データ分析作業にとりかかる。国内外の複数の地域については、回答者の居住地域の生活環境についての指標を作成し、アンケート調査から得られた個票データとのマッチングを行う。そして、人々の格差の捉え方や再分配政策に対する評価が、本人の属性や居住地域の社会経済環境とどのように関連しているかについて、計量分析の手法を用いた検証を行う。 計量分析では、多項ロジットモデルやマルチレベル分析の手法を用いることにより、人々の社会経済的属性、各国固有の制度(税制・社会保障制度、教育制度など)、社会的価値観、生活環境が、様々な福祉資源の配分システム、再分配のあり方、格差の評価にどのような影響をもたらしているかを計量的に抽出する。 研究報告については、コロナウィルス感染症の動向を注視しつつ、適切な時期に国内・海外の学会・研究会で報告を行い、論文をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末から2020年度にかけて発生した新型肺炎の問題を受け、研究計画を一部変更し、2020年度に当該研究の本調査を行うとともに、2021年度に追加調査を行うこととした。
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