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2021 年度 実施状況報告書

子どもの育ちと学びの記録による保育評価とその国際的ネットワークの展開

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0059
研究機関東京大学

研究代表者

浅井 幸子  東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (30361596)

研究分担者 乙メ 佳恵 (橘高佳恵)  横浜国立大学, 教育学部, 講師 (10827554)
椨 瑞希子  聖徳大学, 教職研究科, 教授 (30269360)
小玉 亮子  お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (50221958)
太田 素子  和光大学, 現代人間学部, 名誉教授 (80299867)
研究期間 (年度) 2018-10-09 – 2023-03-31
キーワードドキュメンテーション / 教育ドキュメンテーション / レッジョ・エミリア / 保育評価 / 幼児教育 / レッジョ・インスパイア / リフレクション / 子どもの声
研究実績の概要

総括グループは、ドキュメンテーションの理論的実践的なアイデアの探究を深めた。(1)レッジョ・エミリア市のドキュメンテーションの歴史的な展開をたどり、それが街における幼児教育の公開性を出発点として、子どもの個とグループの学びの可視化のツールとして、子ども、親、教師が探求のプロセスを共有するツールとして、子どもの声を聴き世界の声を聴くツールとして発展してきたことを示した。(2)レッジョ・エミリアの幼児教育を特徴づけているリスニング・ペダゴジーについて、その理論的・実践的な展開を検討した。あわせて「声」の概念の展開を検討した。
イギリスグループは、イギリスにおける幼児教育評価の動向の検討をすすめた。具体的には、イギリスの幼児教育評価の改訂(2021年)について、以前の評価における子ども観察の要請が子どもとのコミュニケーションを抑制していたこと、新しい評価の枠組みがその課題にこたえるために項目をシンプルなものに変化させたことを明らかにした。
スウェーデングループは、約30年の歴史を持つレッジョ・インスパイアのネットワークであるストックホルム・プロジェクトについて調査をすすめた。(1)その現在における理論的・実践的な展開を、「アフェクト(情動)」の理論と関わらせながら保育学会等において報告した。(2)その歴史について、4名の教師と1名のアトリエリスタにオンラインでインタビューを行なった。
アメリカグループは、北米におけるレッジョ・インスピレーションの特徴を検討した。(1)2019年度のアメリカ調査の結果を報告としてまとめた。(2)レッジョ・インスパイアのグループと重なりあいながら活動を行なっているRECEグループについて調査をすすめた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Covid-19の流行のため、2021年度も引き続きスウェーデンからの招聘事業、イギリスからの招聘事業、イギリスへの訪問調査を見送らざるをえなかった。講演についてはオンラインで代替したものの、学校・園を訪問する事業を実施することができなかった。

今後の研究の推進方策

2022年度には、Covid-19に伴う海外渡航と海外からの来日の制限が緩和されつつあることをふまえ、招聘事業および訪問事業を実施する予定である。
5月14日には、スウェーデンのグニラ・ダールベリ氏、イギリスのルイーズ・ロウイング氏が、保育学会でオンライン・シンポジウムを開催する。8月には、国際的な幼児教育の学会であるEECERAに参加し、日本のレッジョ・インスパイアおよびドキュメンテーションの歴史的な展開について、他国の展開と比較しつつ報告を行う。9月にはスウェーデンの研究者が来日し、レクチャーを行うほか、幼稚園・保育所を訪問して、実際に行われているドキュメンテーションに即して視点の交流を行う。秋頃にイギリスの研究者が来日し、レクチャーを行う予定である。
スウェーデングループによるストックホルム・プロジェクトのインタビュー調査は、保育・幼児教育の記録とネットワーク形成に寄与する知見とするために、報告書としてまとめる。3月には、その報告書をもってスウェーデンを訪問し、スウェーデン側の教師らとのディスカッションを行う。
これらに並行して、研究成果の書籍化の作業を行う。これまで学会等で報告したり論文として発表してきた内容の再構成を行うとともに、共同研究者の原稿の翻訳を進める。

次年度使用額が生じた理由

Covid-19の影響で海外からの招聘および海外調査をすることができなかったため、次年度使用額が生じた。
2020年度および2021年度に予定されていた事業のうち、オンラインでは実施できなかった保育・幼児教育施設への訪問を含む事業を今年度に行う。具体的には、イギリスの研究者とスウェーデンの研究者の招聘事業と、スウェーデンへの訪問事業を行う。また、国際学会(EECERA、スコットランド)での報告を予定している。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (2件)

  • [国際共同研究] ストックホルム大学(スウェーデン)

    • 国名
      スウェーデン
    • 外国機関名
      ストックホルム大学
  • [雑誌論文] 南オーストラリア州におけるレッジョ・インスピレーション2022

    • 著者名/発表者名
      浅井 幸子
    • 雑誌名

      東京大学大学院教育学研究科紀要

      巻: 61 ページ: 391~400

    • DOI

      10.15083/0002003517

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 新しい評価論の構築2022

    • 著者名/発表者名
      浅井幸子
    • 雑誌名

      児童教育

      巻: 32 ページ: 27-30

  • [雑誌論文] 授業実践における「生徒の声」の可能性と課題 : ヘンリー・ジルーと多文化教育を手がかりに2022

    • 著者名/発表者名
      植松 千喜
    • 雑誌名

      東京大学大学院教育学研究科紀要

      巻: 61 ページ: 365~373

    • DOI

      10.15083/0002003514

  • [雑誌論文] 教育学における「生徒の声」研究の射程2022

    • 著者名/発表者名
      植松 千喜
    • 雑誌名

      明治大学教職課程年報

      巻: 44 ページ: 11-20

  • [雑誌論文] レッジョ・エミリアのドキュメンテーションー歴史的視点から2021

    • 著者名/発表者名
      浅井幸子
    • 雑誌名

      発達

      巻: 167 ページ: 23-29

  • [雑誌論文] 附属幼稚園と大学-研究・教育のパートナーとして-2021

    • 著者名/発表者名
      小玉 亮子
    • 雑誌名

      幼児の教育

      巻: 120-2 ページ: 20-25

  • [雑誌論文] コロナ下における学びの保障2021

    • 著者名/発表者名
      浅井幸子
    • 雑誌名

      教育方法

      巻: 50 ページ: 50-63

  • [学会発表] Foster the observant eyes to work: a case study of a teacher-education programme in Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Mikiko Tabu
    • 学会等名
      EECERA 30th Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 保育の新潮流―ケアと教育の一体化と内容・方法の刷新―2021

    • 著者名/発表者名
      椨瑞希子
    • 学会等名
      幼児教育史学会
    • 招待講演
  • [学会発表] ペダゴジカル・ドキュメンテーションの理論的・実践的な可能性2021

    • 著者名/発表者名
      Gunilla Dahlberg, Ingela Elfstrom, Bodil Halvars, 浅井幸子, 小玉亮子
    • 学会等名
      日本保育学会
  • [学会発表] RECE(Reconceptualizing Early Childhood Education)ネットワークと その議論の展開2021

    • 著者名/発表者名
      浅井幸子
    • 学会等名
      日本保育学会
  • [学会発表] 南オーストラリア州におけるレッジョ・インスピレーション2021

    • 著者名/発表者名
      浅井幸子
    • 学会等名
      日本教育学会
  • [学会発表] レッジョ・インスパイアのリスニング・ペダゴジー2021

    • 著者名/発表者名
      浅井幸子
    • 学会等名
      日本教育方法学会
  • [学会発表] 進歩主義教育におけるリスニング・ペダゴジー2021

    • 著者名/発表者名
      橘髙佳恵
    • 学会等名
      日本教育方法学会
  • [図書] 幼小接続資料集成 別冊2022

    • 著者名/発表者名
      太田素子、小玉亮子、福元真由美、浅井幸子、大西公恵
    • 総ページ数
      118
    • 出版者
      不二出版
  • [図書] 幼児教育史研究の新地平2021

    • 著者名/発表者名
      幼児教育史学会監修、太田素子・湯川嘉津美編、椨瑞希子ほか
    • 総ページ数
      346
    • 出版者
      萌文書林
    • ISBN
      4893473824
  • [備考] 驚きと創造性に耳を傾ける:スウェーデンのレッジョ・インスピレーションとの対話

    • URL

      http://www.cedep.p.u-tokyo.ac.jp/eventlisting/20210509sympo/

  • [学会・シンポジウム開催] 多文化社会イギリスにおける幼児教育の最前線2022

  • [学会・シンポジウム開催] 驚きと創造性に耳を傾ける :スウェーデンのレッジョ・インスピレーションとの対話2021

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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