研究課題/領域番号 |
18KK0060
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
松井 智子 東京学芸大学, 国際教育センター, 教授 (20296792)
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研究分担者 |
塘 利枝子 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (00300335)
三浦 優生 愛媛大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (40612320)
権藤 桂子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90299967)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | バイリンガル児 / 家庭環境 |
研究実績の概要 |
本研究は、「二言語相互依存モデル」に基づき、英国に在住し、第二言語で教育を受ける日本人児童を対象に、第一言語の発達が就学後の学習言語の発達にどのように影響するかを検証する。具体的には、①参加児童の日本語と英語の発達を多角的、縦断的に検討し、その結果を国内外の教育現場で使える査定ツールの開発につなげること、②乳幼児期の家庭での言語経験と学習言語の発達との関係を検証し、家庭の支援と教育現場の指導に生かせるエビデンスとして提供することを目的とする。 ロンドン補習授業校の協力を得て、小学1年生の保護者を対象として、子どもの言語発達と家庭環境に関する質問紙調査を実施した。さらにロンドンの補習校の2年生を対象に、7月から9月までの間に、日本語と英語の語彙力、文法力、ナラティブの力を含めた言語能力に関する調査と、非言語認知力、社会的認知能力を含めた認知能力に関する調査をオンライン調査と対面調査の両方で行った。母親からの聞き取りもオンラインで実施した。 質問紙調査の結果および言語発達の解析を行った。子どもの家庭環境に基づいて、国際結婚家庭、日本人両親家庭で長期滞在、日本人両親家庭で短期滞在の3つのグループに分けて比較を行った。また実験的調査に参加した児童の日英二言語能力に関して。個別にフィードバックを行った。 1年間の縦断言語発達調査の主な結果は以下を含む。日英二言語家庭のバイリンガル児は英語の語彙力と日本語の語彙力が有意に伸びていた。対照的に両親日本語家庭で3歳前に渡英したバイリンガル児は、日本語の表出語彙力だけが有意に伸びていた。語彙の発達には家庭で使用する言語の影響があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で前年度のようにすべて対面調査でデータをとることができなかったものの、オンライン調査と対面調査を組み合わせることで、必要なデータをとることができた。
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今後の研究の推進方策 |
質問紙調査を中心にバイリンガル児の言語発達環境に関する新たなデータを収集するとともに、実験データの多角的な解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ロンドン補習校での調査および共同研究者との打ち合わせに旅費を計上していたが、コロナ禍で海外渡航が困難だったため、ロンドンへの渡航が見送られ、次年度に延期された。
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