研究課題/領域番号 |
18KK0062
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 肖子 名古屋大学, アジア共創教育研究機構(国際), 教授 (90377143)
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研究分担者 |
高橋 基樹 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (30273808)
野口 裕之 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 名誉教授 (60114815)
近藤 菜月 名古屋大学, 国際開発研究科, 特任助教 (60827179)
島津 侑希 名古屋大学, 国際開発研究科, 助教 (80783224)
Otchia Christian 名古屋大学, 国際開発研究科, 准教授 (90761198)
谷口 京子 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 学振特別研究員(RPD) (10773012)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | 産業人材 / 教育評価 / アフリカ研究 / 技能評価 / 非認知的能力 |
研究実績の概要 |
本研究では、アフリカにおいて、中学校から職業技術教育・訓練(Technical and Vocational Education and Training: TVET)程度の教育歴を有する若手労働者の技能を評価するモジュールを開発している。このモジュールは、教育計測学、教育政策学、カリキュラム研究の知見に基づき、教育・訓練の内容と労働者の実際の能力、更には産業界が労働者に期待する能力を対比することを可能にし、それに基づいて、カリキュラムや産業人材育成政策の改革に貢献することを目指している。このモジュールは、労働者の能力を国際的に同じ基準で評価することができる。また、労働者が実際に仕事の場で問題解決をする能力を総合的に把握することを可能にするという点で、近年の「新しい知識観」に対して、実証的に貢献することが期待できる。 具体的な活動として、2017~2019年度は、エチオピア、南アフリカ、ガーナの3か国で、縫製業の労働者と雇用者、TVET教員を対象に、質問票・筆記テスト・実技テストによる技能評価を実施してきた。2017年度には、日本において、技能評価モジュールの試行、修正を行った他、3つの事例国それぞれで大規模な技能評価実施に向け、関係機関との連携合意を締結するなどの準備を行った。そのうえで、2018年度には、事例3ヵ国で、順次、それぞれ300~700名の参加を得て技能評価を実施した。 2019年度は、このように集積したデータの整理、分析を進めるとともに、対象国政府や関係機関の参加を得た国際会議を主催し、研究成果の普及と政策提言を行った。また、対象3か国で評価モジュールの有効性を確認したうえで、他国及び他産業にも適応することを目指してきた。実際には、2019年度末から縫製業だけでなく機械整備の分野での技能評価モジュールの開発を開始するとともに、ユネスコ、ILOなどの国際機関との連携協議を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2~3月にエチオピアに出張し、これまで実施してきた縫製業に加え、機械工の技能評価モジュールの評価に向けた調査を開始していたが、コロナウィルスの流行により、エチオピアでの滞在を短縮して帰国することとなった。また、エチオピアに続けてガーナに出張し、これまでの研究成果に基づく国際会議を開催する予定だったが、ガーナへの渡航を中止し、既に招待状等も発出していた国際会議の開催を見合わせた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナウィルス流行に伴う渡航自粛が解けた場合、すぐにエチオピア及びガーナで中断していた作業を再開する。現地での活動が再開できるまでの期間は、現地研究協力者との遠隔での連携を通じて可能な限り準備を進める。また、既に収集したデータに基づく論文執筆に注力する。
2020年度からは、事例国であるエチオピア、ガーナ、南アフリカで実効性を検証した技能評価モジュールを他国に展開するための準備を進める予定である。具体的には、ユネスコ教育計画国際研究所とともに西アフリカでの実施を協議していたが、コロナウィルス流行によって、具体的な調整が中断している状況である。技能評価モジュールのオンライン化も含め、遠隔での実施可能性も模索しつつ、具体化に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月にガーナにおいて研究成果普及のための国際会議を開催予定であったが、コロナウィルス禍により、ガーナへの入国が制限され、感染者が出ている国の研究者が会議を主催することの妥当性が懸念された。そのため、ガーナでの会議にかかる支出が未使用となった。
また、エチオピアにおいて、実施中の研究を中断して帰国したことにより、現地での研究アシスタントの謝金や現地活動費などの支出額も予定より少なくなった。
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