研究課題/領域番号 |
18KK0064
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齋藤 直子 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (20334253)
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研究分担者 |
Rappleye Jeremy 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (00742321)
荒井 祐介 日本大学, 法学部, 准教授 (30422562)
Sevilla Anton 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (50754438)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | 他なるものとの共存 / 人間変容の政治教育 / アメリカ実践哲学 / 教育と哲学の学際対話 / 欧州三国との国際連携 |
研究実績の概要 |
政治的なエモーショナリズムの台頭や移民や宗教対立をめぐる排斥的な態度が支配する中、安定を脅かす不均衡への心理的恐れや、包摂への実存的不安に由来する政治的危機、思考と判断の枯渇状態、声の喪失、他者への想像力の貧困状態をもたらす教育の危機が高まっている。不均衡をもたらす他なるものとの共存を可能にする公正なスペースの創造は民主主義と教育にとって喫緊の課題である。本研究プロジェクトは、日本が先導し欧州三国をつなぐ国際連携を通じ、アメリカ実践哲学のグローバルな意義を解明する。教育と哲学を軸にした学際対話を通じて、不均衡の視座から調和・統合に依拠した公正概念を再考し、多元的な民主主義の実現に向けた代替的な政治教育「挑戦的インクルージョン」の実践的意義を提示する。 今年度は、このプロジェクトの立ち上げ会議を研究分担者、海外共同研究者とともにパリで行い(2018年12月)で開催し、研究プロジェクト全体の構想を話し合うことができた。また、本プロジェクトのアメリカ側の共同研究者であるアメリカ哲学の大家Richard Bernstein教授をニューヨークに訪れ、同教授に研究プロジェクトの紹介を行い、研究協力をあおぐことができた。 来年度に向けては、宗教のテーマを担当するヘルシンキ大学の海外共同チームと日本側担当者が中心となって、同大学において2019年9月に共同研究が行われることが決まった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内研究分担者および、海外共同研究者との蜜な連絡、直接の対話を通じ、5年間の研究構想に向けてしっかりとした土台を築くことができている。 アメリカ哲学研究に不可欠な、アメリカ哲学の大家Richard Bernstein教授の協力を得られることが確定した。 研究代表者、分担者が、本プロジェクトのスタートを飾るにふさわしい業績をあげている。 立ち上げ会議を通じて、今年度の明確な遂行目標が立っている。 また国内においては研究代表者と分担者が、アメリカ哲学フォ-ラムの年次大会でパネルを開催することが決定した。
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今後の研究の推進方策 |
各年度ごとに、ヘルシンキ、パリ、ロンドン、日本において、共同研究を遂行する。研究者間でその計画を話し合い了承済みである。 2019年度は、ヘルシンキ大学において、宗教と承認を中心課題として、問題の所在の批判的分析を行う。 2020年度は、パリ第一大学において、「ケアの倫理」と女性の声という視座から不均衡をもたらす他なるものとの共存の課題に取り組み、学際的な市民性教育の哲学的解明を行う。 2021年度は、UCL教育研究所において、不均衡をもたらす他なるものと共存するための公正なスペースを備えた人間変容の政治教育の実践的意義の解明に取り組む。 2022年度は、日本において代替的政治教育「挑戦的インクルージョン」の構想を総括する。
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次年度使用額が生じた理由 |
1. 研究代表者が健康上の理由により、2019年3月の海外渡航を中止せざるを得なかったため、海外共同研究者との共同研究を遂行できなかったため。2. 研究分担者が、2018年10月に関西大学で開催された日本政治学会に参加する予定であったが、急遽校務により参加できなくなり、それにかかる旅費および物品費を使用しなかったため。3. 研究分担者が本務の都合で国内出張を遂行できなかったため、それにかかる旅費を使用しなかったため。 使用計画 1. 研究代表者が今年度に計画されている、ヘルシンキ大学での共同研究およびアメリカでの国際会議発表のための海外渡航費に使用する。2. 研究分担者が、2019年6月に筑波大学で開催される日本比較政治学会に参加する ために、旅費および物品費として使用する。3. 研究分担者が研究遂行のための図書費に使用する。
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