研究課題/領域番号 |
18KK0068
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
濱崎 由紀子 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (50328051)
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研究分担者 |
中山 貴夫 京都女子大学, 現代社会学部, 教授 (00379158)
TAJAN NICOLAS 京都大学, 人間・環境学研究科, 特定准教授 (40751277)
道越 秀吾 京都女子大学, 宗教・文化研究所, 講師 (60572229)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2024-03-31
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キーワード | 精神病リスク / スクリーニング / ひきこもり / 子ども |
研究実績の概要 |
ひきこもりは我が国の深刻な心理社会的問題であり続けているが、2010 年頃より欧州各国においてもひきこもり症例の急激な増加が認められている。しかしその原因については未だ明らかにされておらず、又ひきこもり人口の中に予後不良の精神病リスク群がどの程度存在するのかも明確には同定されていない。このような問題意識から、当該研究ではひきこもりの子どもの精神病リスクを同定する早期スクリーニング・システム(国際版)の開発とその予測妥当性の検証を研究目的としている。研究代表者らは、先行研究の結果から、統合失調症患者の児童期には既にサブクリニカルな心理・行動特性のコンビネーション・パターンが存在することを明らかにし、この特性パターンをアルゴリズムに組み込んだ「子どもの精神病リスク早期スクリーニング・システム CPSS」(特許第6466548号)を開発している。2021年度にはCBCL6-18仏語版をWeb上に組み込んだ仏語版CPSSを開発しているが、2022年度は臨床側ユーザーのアクセシビリティ向上のために、これにさらに改良を加えた。また、日本とフランスの中学生(精神科臨床群と非臨床群)を対象に、オリジナルのひきこもり尺度・環境要因尺度、CBCL6-18、CPSS(それぞれ日本語版および仏語版)を用いて評価し、日仏ひきこもりの背景にある心理行動特性、環境要因、精神病リスクの関与を明らかにした。研究成果をEPA国際学会(30th European Congress of Psychiatry)、第63回日本児童青年精神医学会総会などの学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度同様、新型コロナ感染状況により海外渡航が困難となり、フランス研究班との共同作業に遅滞が生じた。また国際学会での研究発表や意見交換にも支障が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
日本及びフランスの6~18歳の精神科臨床群・非臨床群を対象に、オリジナルのひきこもり尺度・環境要因尺度、CBCL6-18、CPSS(それぞれ日本語版および仏語版)を用いて疫学調査を継続する。回収データの分析により、日仏ひきこもりの心理行動特性、環境特性、精神病リスクの分布を明らかにし、日仏ひきこもり発生のメカニズム(基盤的脆弱性や環境因、動的病態メカニズムなど)の共通点と相違点を明らかにする。また子どもの精神病リスク早期スクリーニング・システム(日本語版および仏語版)の改良と予測妥当性の検証を引き続き行う。2023年度はEPA国際学会(32th European Congress of Psychiatry)、ASCAPAP(2023)国際学会などで演題発表を行うとともに成果の論文発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染状況によりフランスでの疫学調査進捗は当初計画よりやや遅れている。このため疫学調査における研究協力者(調査協力、データ解析協力)、研究補助者(データ入力など)への謝金支出が当初計画より少なくなっている。また、当初計画していた海外渡航(フランス共同研究機関との打ち合わせ、国際学会発表)がキャンセルとなった。これらの実施については次年度に持ち越されることになった。このため次年度使用額が生じた。
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備考 |
子どもの精神病リスク早期スクリーニング・システム(CPSS)
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