研究課題/領域番号 |
18KK0080
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
永岡 賢一 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (20353443)
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研究分担者 |
宮本 賢治 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (00532996)
木崎 雅志 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (70598945)
高橋 和貴 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80451491)
中野 治久 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (90442524)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | 負イオンビーム / 負イオン源 / ビーム集束性 / RFプラズマ |
研究実績の概要 |
負イオンビームは、高エネルギー領域での良好な荷電交換反応特性を持つため、大型磁場閉じ込め核融合研究、高エネルギー加速器開発、医療用加速器開発等を支える基盤技術となっている。現在進行中の国際熱核融合実験炉(ITER)用負イオン源開発では、ドイツを中心にRF負イオン源が開発され、定常化、大電流化に成功している。ところが、近年ビームの収束性が不十分という問題に直面しており、その問題解決が急務の課題となっている。本研究では、核融合応用を目指した負イオン源開発で世界をリードしている日本とドイツの国際協力により、ビーム引出界面形成と粒子ダイナミクス制御に着目した共同実験を実施することにより、RF負イオン源でビーム収束性を制限している原因を明らかにすることを目指して、研究を進めている。 2018年度には、日本側の連携研究者とマックスプランク研究所を訪問し、関連共同研究者が一堂に会して、研究計画の具体的なスケジュールや方針を定めた。その計画に従って、2019年度には、日本側で計測器の設計及び制作を行った。マックスプランク研究所のBATMAN-Upgrade装置では、計測対象のビームレットが大きくなることが想定されること、及び計測器のサポート構造が核融合研の装置とは異なるため、検出器の設計を見直す必要があった。先行研究の検出器より、約1.5倍の49チャンネルの電極を体積をほぼ変えない領域に作りこむ必要があったため、各電極からの電流引き出しケーブルの接続方式を変更する設計を行った。日本側で準備する機器の設計・製作・調達は完了し、該非判定等の輸出手続きを進めている。 新型コロナウィルス拡散防止政策の影響で、実験スケジュールが延期となり、当初予定より遅れが見込まれるが、研究計画は着実に進めることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた機器製作等の実験準備は、問題なく進んできたが、コロナウィルスの影響で、実験予定の遅延が見込まれている。2020年3月に予定していた計測器の設置ができなくなった。2020年秋までに実験が実施できれば、問題ない範囲と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
実験再開、及びドイツ訪問が可能になる時期がまだ未定であるが、日本側で行った実験の解析や数値計算の検討を進め、大幅な研究計画の変更なく進める方針である。特に、ビーム軌道計算によるこれまでの実験結果の解析を進めることにより、負イオンビーム引出界面(メニスカス)形成の物理過程の詳細を調べる。これにより、ドイツでの実験開始後の解析の効率化を進めておく計画である。 実験計画の遅れを補うために、負イオン源プラズマの安定性に関する理論解析を始める。負イオンプレシスでは、2流体不安定性が起こる可能性がPICシミュレーションから指摘されており、NIFS-RNIFSの実験条件での安定性解析を進める。また、NIFS-RNISプラズマにおける揺動計測、及び、高速ビームレットモニターでのビーム振動計測を行い、実際に2流体不安定がビーム引き出し領域のプラズマやメニスカス形成に影響しているのか?を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたドイツでの実験スケジュールの遅れによりドイツ訪問が延期となったため。 2020年夏に延期された実験準備のためのドイツマックスプランク研究所への渡航を行い、9月ー10月にかけて、共同実験のために再度渡航する計画である。現状では、マックスプランク研究所のBATMAN-UPGRADE装置の実験は再開されているものの、大幅な遅れによる研究計画の修正が見込まれているが、本計画側では柔軟に対応する予定である。 2021年3月には、実験成果の議論及び負イオンビーム引き出し界面形成に関する実験準備のために再度マックスプランク研究所を訪問する計画である。
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