研究課題/領域番号 |
18KK0085
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
有賀 智子 (古川) 九州大学, 基幹教育院, 助教 (00802208)
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研究分担者 |
小松 雅宏 名古屋大学, 教養教育院, 准教授 (80345842)
佐藤 修 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 特任講師 (20377964)
吉田 純也 東北大学, 理学研究科, 助教 (60573186)
吉本 雅浩 国立研究開発法人理化学研究所, 仁科加速器科学研究センター, 特別研究員 (40854964)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | タウニュートリノ / Ds中間子 / SPS / 飛跡検出器 |
研究実績の概要 |
CERNの加速器SPSによる400GeV陽子ビームを用いた照射実験(物理ラン)を2021年9-10月に実施した。実験プロポーザル当初の予定では2021年の物理ランで約250m2のエマルションフィルムから成る検出器に照射を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により日本側の研究代表研究者・共同研究者の海外出張および海外の共同研究者の入国・国内施設への受入が制限され、当初計画の40%(エマルションフィルム約100m2)に縮小した。照射計画は縮小したが、検出器の組み立て・ビーム照射・現像・データ読み出しの高速化および効率化のため、エマルションフィルムのサイズをパイロットランの4倍に増やした。そのためにビーム照射に必要なターゲットムーバーシステムの大型化に取り組み実現させた。約100m2のエマルションフィルムについては、エマルションフィルムの大規模製造システムにて共同研究者らと製造を実施した。CERNの暗室をベルン大学グループと協力して整備し、エマルション検出器の組み立ておよび現像の体制を整えた。ビーム照射実験でのエマルション検出器の組み立て、照射、現像については、CERNの協力者、日本の共同研究者、ロシアやトルコのグループとも協力して、国際共同研究にて遂行した。現像したフィルムの表面処理を各グループで分担して実施し、データ読み出しの調整・データ処理を開始した。最初のデータサンプルを解析し、ビームプロファイルを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により日本側の研究代表研究者・共同研究者の海外出張および海外の共同研究者の入国・国内施設への受入が制限されたため、2021年の照射実験(物理ラン)を実験プロポーザル当初の計画より大幅に縮小して実施した。縮小した分は2022-2023年の照射実験(物理ラン)を拡大することにより当初の目標達成を目指す。2021年の照射実験(物理ラン)では、高速化および効率化のためにエマルションフィルムのサイズをパイロットランの4倍に増やし、それに合わせてターゲットムーバーシステムを大型化して照射を実施した。また、2022年の照射実験(物理ラン)に向けた準備として、エマルションフィルムの製造を実施した。CERNの暗室については大規模な現像が可能となるような改装を進めてきた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2021年の照射実験のデータ読み出しを本格的に遂行する。並行して、9月から予定している2022年の照射実験を進める。CERNにて暗室の改装を行っており、新しい大規模現像のためのシステムをテストし、実用化する。それら物理ランのエマルションフィルムの読み出しを実施し、読み出したデータの性能を確認し、フィルム間のアライメントを取って飛跡を再構成し、さらに精密なアライメントを行う。陽子反応点、チャーム・タウ粒子の崩壊の探索、Ds中間子からタウ粒子への崩壊探索を遂行し、タウニュートリノ生成を測定する。また、主目的に加えて、Ds中間子に限らない、大統計での超前方チャーム粒子生成の測定を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により日本側の研究代表研究者・共同研究者の海外出張および海外の共同研究者の入国・国内施設への受入が制限されたため、2021年の照射実験を当初の計画より大幅に縮小して実施した。縮小した分は2022-2023年の照射実験を拡大して行うため、次年度に検出器の組み立てに関わる費用・照射実験への旅費を支出する。
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