研究課題/領域番号 |
18KK0100
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
淺村 和史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (50321568)
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研究分担者 |
野村 麗子 国立天文台, RISE月惑星探査検討室, 特任研究員 (30637690)
三谷 烈史 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (70455468)
細川 敬祐 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (80361830)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | 脈動オーロラ / 観測ロケット / 高エネルギー電子の降り込み |
研究実績の概要 |
脈動オーロラは、数keVから数十keVのエネルギーを持つ電子が、宇宙空間から地球の超高層大気に向かって間欠的に降り込んでくることで発生すると考えられている。一方、脈動オーロラ発生時には、よりエネルギーの高い、準相対論的高エネルギー電子も同時に降り込んでいるというモデルが提案されている。このモデルは放射線帯構成電子の消失過程の理解に寄与するなど重要と考えられる。しかし、これまでのところ十分な高時間分解能で数 MeV に達する高エネルギー電子を脈動オーロラ発生時に直接観測した例はない。 我々は脈動オーロラ発生時の高エネルギー電子観測を実現するため、米国 NASA の観測ロケット計画 (LAMP) に提案段階から参画している。本研究では高エネルギー電子観測器、オーロラカメラなどの観測機器パッケージ (PARM2) を開発し、LAMP 観測ロケットに搭載、打ち上げ、観測を行う。 本年度は日本側開発機器 PARM2 に関する NASA とのインターフェース調整を行ったほか、観測機器の開発を行った。PARM2 は複数の観測機器で構成されるが、インターフェース不整合のリスクを低減するため、電源、通信のインターフェースを一つの専用装置 (COMMON-E) に集め、観測ロケットシステムから見た際にシングルポイントインターフェースとなるように設計した。このため、機構部分のインターフェース調整は必要であるものの、各観測機器について基本的に PARM2 内部で開発が可能となった。そして、COMMON-E を除く各観測機器について、機構設計、詳細電気設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LAMP 観測ロケット搭載機器の開発はすでに開始しているが、2019年初頭の米国連邦機関閉鎖によって NASA も閉鎖されたため、インターフェース調整に時間を要している。日本側開発機器 (PARM2) は複数の観測機器で構成される観測器パッケージであるが、観測ロケットシステムとの電気的インターフェースは 1か所に集約する設計としている。このため、観測ロケットシステムインターフェースに直接関わらない機器 (オーロラカメラ、高エネルギー電子観測器、磁力計) の開発を優先的に行った。 一方、米国連邦機関閉鎖の影響により、LAMP 観測ロケットの打ち上げが 1年延期され、2020年度冬季となった。このため、インターフェース調整の遅れによる開発遅延は許容できる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に開始した LAMP 観測ロケット搭載観測器開発を継続する。観測ロケットシステムとのインターフェース調整が合意に至った段階で COMMON-E (対ロケットインターフェースを集約し、日本側観測機器との通信・電力供給をとりもつ機器) の設計を固め、製作、単体機能試験を行う。なお、COMMON-E については、単体試験を行うためにロケットインターフェース模擬装置が必要となる。これについては NASA 側の仕様を基に日本側で設計、製作する。また、各観測機器についても製作、単体機能試験などを行った上で COMMON-E とのかみ合わせ試験を行う。 LAMP 観測ロケット実験では脈動オーロラ発生時に高エネルギー電子観測を行うため、打ち上げ期間中にオーロラ光学観測、電波観測などの地上支援観測が必要である。本研究では LAMP 打ち上げ期間に地上観測機器をロケット飛翔予定軌道下周辺に持ち込み、観測を行う。LAMP 観測ロケットはアラスカ / Poker Flat から打ち上げられる予定であり、現地における観測場所の確保や機器運搬、運用などについて、アラスカ大学などとの調整を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度直接経費に関しては、ほぼ全額使用している。ただし、米国連邦政府閉鎖などの影響により、一部を次年度に使用することとした。次年度使用額分は観測機器開発に使用する。
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