研究課題/領域番号 |
18KK0102
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
宮崎 和幸 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 招聘主任研究員 (30435838)
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研究分担者 |
関谷 高志 国立研究開発法人海洋研究開発機構, ビッグデータ活用予測プロジェクトチーム, ポストドクトラル研究員 (00781460)
金谷 有剛 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 研究開発センター長代理 (60344305)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2020-03-31
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キーワード | データ同化 / 大気汚染 / 衛星観測 / TROPOMI |
研究実績の概要 |
オランダ王立気象研究所(KNMI)に研究分担者が約1ヶ月間滞在し、同機関によって作成されているTROPOMI衛星測器による対流圏の二酸化窒素(NO2)カラムデータの、データ同化での利用に世界に先駆けて取り組んだ。0.56度と高分解能なシステムを利用することで、都市スケールでの大気汚染の解析を可能とすることを目的とした。データ同化解析の性能を向上するために、各種データ同化パラメータを変更した感度計算を実施した。その結果、最適なパラメータを決定し、TROPOMI 観測データを適切に利用してNOx排出量の高分解能・高精度な推定が可能となった。データ同化に利用していない衛星・ゾンデ観測と比較して、データ同化の解析値の誤差はモデル計算より改善することも確認した。 さらに、データ同化から得た解析値、誤差情報から、TROPOMI NO2のスーパーオブザベーション(高分解能の観測からモデル格子点を代表するデータを得る手法)において仮定されている、成層圏NO2カラムの誤差推定値が過大評価である可能性を提示し、観測誤差の推定の改善に向けてフィードバックすることができた。 また、データ同化に利用する衛星リトリーバルには依然として大きな不確定性が残るため、衛星データの検証のために、JAMSTECで独自に実施しているMAX-DOAS観測など地上観測を用いた検証を実施した。検証結果はTROPOMI開発に反映し、今後のデータ改善に向けて役立てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、.KNMIにより作成された最新のTROPOMI NO2リトリーバルを利用したデータ同化計算を実施することができた。これまでに実施していた水平分解能1.1度におけるデータ同化に加えて、0.56度と高分解能化システムを用いて解析の高精度化を図ることができた。また、モデルの分解能に応じて、高分解能なTROPOMIを最適に笠重ね合わせモデル格子サイズでの濃度場(Super observation)を作成し、データ同化で効果的に利用することにも成功した。一連の計算は、リトリーバル開発機関であるKNMIと共同で進め、効果的な観測演算・品質管理手法の開発と、リトリーバル向上へのフィードバックを果たすことができた。得られた解析値は、様々な物質についてデ ータ同化で利用していない地上・ゾンデ・航空機観測などと比較・検証した。以上の通り、計画通り概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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次年度使用額が生じた理由 |
相手方(KNMI)とのスケジュール調整の結果、滞在期間が当初想定よりも若干短くなったため。
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