研究課題/領域番号 |
18KK0104
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
花之内 健仁 大阪産業大学, 工学部, 教授 (40711643)
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研究分担者 |
大槻 周平 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (20589840)
木下 和昭 四條畷学園大学, リハビリテーション学部, 講師 (20747498)
内田 宗志 産業医科大学, 医学部, 准教授 (60330990) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-02-07 – 2024-03-31
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キーワード | 再生医療 / 定量的MR画像 / プローブ機器 / 関節軟骨 / 前十字靭帯 / 股関節唇 |
研究実績の概要 |
本研究は、我が国の高齢者の多くが罹患している変形性関節症への新しい治療体系である、関節内の軟部組織(軟骨・半月板・靭帯・関節唇等)の再生医療(生体材料 等の移植)に関するものである。 その目的としては、その関節内軟部組織の再生医療確立のための研究において、不足している力学特性の検討を十分に行うため、日本で入手困難な新鮮凍結屍体組織中の関節内軟部組織の力学特性を網羅的に調査することである。 昨年度に着手し今年度まとめることができた研究についてまず報告する。膝関節の軟部組織である前十字靭帯について、引張試験器から求められる機械特性と、同部位をMRIで撮像して取得できる定量的数値にはある程度の相関があることを明らかにした。また、前十字靭帯を線維方向に垂直にプローブという機器で牽引した時に得られる力は、組織の機械特性と相関することが明らかできた。これらについて2つの論文にまとめることができた。①Hananouchi T,et al The Resistance Force of the Anterior Cruciate Ligament during PullProbing Is Related to the Mechanical Property. Bioengineering (Basel). 2021 Dec 23;9(1):4.②Saeed Jerban, Takehito Hananouchi(共同筆頭著者), et al Correlation between the elastic modulus of anterior cruciate ligament(ACL) and quantitative ultrashort echo time (UTE) magnetic resonanceimaging J Orthop Res. 2022 Jan 28 現在焦点をあてている組織は、股関節関節唇である。この組織強度とMRI画像の定量的数値の関係を解析していく研究を行っている。またその前段階として、関節唇の屍体組織から抽出する際に、股関節鏡手術に模した状況で行い、上述のプローブ評価と組織の強度との関連についても調査を行っている段階で、2022年度終了までには一定数の症例で解析ができると予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究概要で示したように、2つの海外論文にまとめられたことから、全体的な評価を上記とした。 また、研究計画書作成の段階で記載していたように、海外での活動がうまく進展しない際の代替案としての、国内研究協力機関において、関連する研究を実施 する準備が整ってきていることも上記の進捗状況とした理由である。現在膝関節の軟骨および半月板の定量評価を行っており、さらに比較的新しいMR画像のシーケンスであるStarマッピングを追加し、検討中の段階にある。最終的に日本で展開される再生医療に貢献できる可能性が示唆される。
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今後の研究の推進方策 |
まだコロナ禍の状況から脱出できているわけではないものの、PCR検査体制の充実や、ワクチン接種の体制も整いつつあり、2021年度は2回海外研究渡航できた。 進捗状況で述べたように、最終的にこの研究は日本の医療に還元したいと考えているので、この海外共同研究で培った実験方法のノウハウなどをそのまま活かしながら、日本ですでに臨床使用されているMR画像のシーケンスについての解析を進めていける体制が整いつつあるので、一定の成果が残せることを期待している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で予定した海外研究渡航回数が達成できなかったため
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