研究課題/領域番号 |
18KK0114
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
渡部 徹 山形大学, 農学部, 教授 (10302192)
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研究分担者 |
西山 正晃 山形大学, 農学部, 助教 (10802928)
本多 了 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (40422456)
原 宏江 金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (70823524)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | 薬剤耐性菌 / アジア / 都市下水 / モニタリング / 遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
(1)都市下水のサンプリング:昨年度に引き続き,タイ,カンボジア,ベトナムの拠点で,定期的に都市下水のサンプリングを行った。 (2)都市下水からの重要な耐性菌のスクリーニング:項目(1)で採取した都市下水から,院内感染の原因として重要な耐性菌をスクリーニングする手法を確立した。ESBL産生大腸菌(ESBL-EC)とバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の検出割合について,日本の下水中のESBL-EC とVREの割合はそれぞれ2.1%と0.1%であったのに対し,上記3カ国におけるこれら耐性菌の割合は総じて高い傾向であった。例えば,タイのESBL-ECの割合は10.2%と日本の5倍も高く,東南アジアにおける耐性菌の蔓延の深刻さが浮き彫りとなった。 (3)スクリーニングされた菌株からの耐性遺伝子の検出:項目(2)で分離したESBL-EC 株とVRE株について耐性遺伝子型を調べたところ,前者からはbla-CTX-M(100%)が,後者からはvanB(54%)がそれぞれ主要な遺伝子型として同定された。 (4)耐性遺伝子の進化的相同性に基づく耐性菌の地域性と広域拡散の把握:昨年度選定したタイ・バンコクの3か所の下水処理場において,月1回の流入下水と活性汚泥のサンプリングを開始し,1年間のサンプリングを終了した。採取した試料をDNA抽出の後,次世代シーケンサーによる配列解析を行う予定であったが,新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響を受けて実験が中断している。国内の比較先として,金沢市,富山市,堺市の6か所の下水処理場において昨年度に夏季と冬季に採取した下水と活性汚泥について,次世代シーケンサーによる配列解析と相同性検索を行い,各試料の薬剤耐性遺伝子相を得た。薬剤耐性遺伝子相の差異は,下水と活性汚泥の間で大きく,下水・汚泥それぞれの試料での地域間差異は小さいことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の終盤には,新型コロナウイルスの世界的流行のために海外渡航が禁止となり,研究計画の一部を遂行できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの世界的流行にともなう研究室利用や海外渡航の制限がどれだけ続くか心配であるが,海外のカウンターパートの協力を得ながら,できる限り計画通りに研究を実施できるように努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的流行にともない,海外出張を一部キャンセルしたため。
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