研究課題/領域番号 |
18KK0114
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
渡部 徹 山形大学, 農学部, 教授 (10302192)
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研究分担者 |
西山 正晃 山形大学, 農学部, 助教 (10802928)
本多 了 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (40422456)
原 宏江 金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (70823524)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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キーワード | 薬剤耐性菌 / アジア / 都市下水 / モニタリング / 遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
ESKAPEのうち大腸菌,腸内細菌科細菌,黄色ブドウ球菌,腸球菌に関連する耐性菌(CRE,ESBL,MRSA,VRE)のモニタリングをタイ,カンボジア,ベトナムで実施した。タイの2箇所の都市下水処理場で耐性菌のモニタリングを行ったところ、各耐性菌の平均検出率(n=12)は次の通りであった(CRE:26.9%と26.8%、ESBL:6.91%と5.41%、MRSA:1.83%と3.09%、VRE:0.28%と0.18%)。両処理場からすべてのESKAPEが検出され、特にCREの割合が高かった。2つの処理場間で耐性菌の検出率に有意差はなかった。ESKAPE細菌を4種の合計で750株分離し、それらの確定試験を実施した。ESBL産生菌の型別ではblaCTX-M、blaTEM、blaSHVが検出され,中にはEPECやETECなどの病原大腸菌も存在していた。分離したMRSAやVREについても鑑別試験を行い、mecA保有のMRSAやvanA保有のVREが検出された。カンボジアとベトナムで分離されたESKAPE細菌についても同様の分析も実施した。 耐性遺伝子の進化的相同性に基づく耐性菌の地域性と広域拡散の把握については,COVID-19流行のため海外渡航ができず,十分な数のサンプルを集められなかった。そのため,DDBJより海外の下水汚泥のショットガンメタゲノム(SMG)配列データ(中国と米国各10箇所)と,日本の5箇所の下水処理場で採水して得たSMG配列データを用いて,薬剤耐性遺伝子データベースCARDと比較して,各国の薬剤耐性プロファイルを得た。日本ではアミノグリコシド系薬剤耐性が多い一方、中国・アメリカではぺネム系薬剤耐性が比較的多いことが示された。中国は同じアジア域の日本よりも,米国に近い傾向があり,人の往来や地理的距離以外の要因が各国の薬剤耐性を特徴づけていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的流行のために,本年度を通じて現地調査を実施できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の1年延長が認められたため,海外渡航の解禁を待って現地調査を実施する。それが難しい場合には,海外共同研究者のこれまで以上の協力を得て,残された研究計画を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的流行のために,海外出張ができず現地調査を実施できなかった。研究期間の延長が認められたため,次年度中に海外出張の解禁を待って現地調査を実施する。それが難しい場合には,海外共同研究者のこれまで以上の協力を得て,調査を実施する。次年度に繰り越した予算は,そのために使用する計画である。
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