研究課題/領域番号 |
18KK0115
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松島 亘志 筑波大学, システム情報系, 教授 (60251625)
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研究分担者 |
高野 大樹 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 主任研究官 (80626218)
渡邊 保貴 一般財団法人電力中央研究所, 地球工学研究所, 主任研究員 (80715186)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | 粒状体 / 堆積構造 / 可視化実験 / 3Dプリンター / 粘土粒子 / 個別要素法 / 統計力学 |
研究実績の概要 |
本研究では,X線μCTや大気圧SEMなどの最新ミクロ可視化実験手法およびLS(Level-Set)-DEMなどの最新粒子ベース解析手法を用いて,地盤材料(粘土・砂・軟岩など)のような複雑粒状体の力学挙動を統一的に記述できる粒状体統計力学理論を構築することを目的としている.特に,粒子形状および粒子間付着力の影響に着目しながら研究を進めている.今年度は,以下の研究を行った. 1) 3Dプリンターで大量に作成した,様々な形状の人工楕円体粒子を用いた堆積実験およびせん断試験を行い,集合体の力学特性と堆積構造のや粒子運動の関係をX線CTによって取得する手法の確立を行った. 2) 2次元個別要素法(Discrete Element Method, DEM)による楕円粒子集合体の堆積およびせん断試験を行い,堆積構造の統計力学的定量化手法の開発を行った.特に,扁平な粒子の堆積では,粒子長軸が同じ方向を向くクラスター(結晶構造)が観察され,その性質について調べた. 3) 3次元の不規則形状粒子集合体の堆積構造を定量化する手法の検討を行った.具体的には,Set-Voronoi分割を用いて空隙を各粒子に所属させ,それを接触点を含む形で分割する手法の開発を行った. 4) 微細な粘土粒子の凝集体構造を観察する新手法の開発を試みた.具体的には,水中に分散させた粘土の凝集過程を,メンブレン薄膜越しにFE-SEMで観察する手法,そして,イオン液体を浸潤させた擬似web粘土試料をSEMで観察する手法について検討を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3Dプリンターを用いて,様々な形状の楕円体粒子を大量に作成して,それらの集合体の力学特性をX線マイクロCT装置で可視化する実験は,港湾空港技術研究所およびグルノーブル・アルプス大学にて順調に進行している.粘土粒子の凝集構造を観察する手法は,これまで様々な手法を試みて思うような結果が出なかったが,今回の薄膜越しの観察は非常に鮮明な画像が得られたため,最終年度に向けて糸口がつかめた.数値計算に関しても,おおむね順調に結果が揃ってきており,最終年度はそれらを相互比較することで,新たな知見を得ることが期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の流行の影響がどの程度続くかは,現時点では見通せないが,それぞれの研究者が担当する部分のうち,実施可能な部分について検討を行い,それらをオンラインミーティング等で情報交換することで,研究を進めていくことを考えている.特に,扁平な楕円体の堆積構造研究と,粘土の凝集構造の比較検討については,頻繁な情報交換が必要であると考えている.数値解析については,比較的影響なく検討を進められているため,順調に進めば,多くの新しい結果が得られることが期待できる. また,次年度は最終年度であるため,得られた結果は,順次論文として報告していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の新型コロナウィルス感染症問題で,予定していた研究が進まず,また海外の共同研究者との打ち合わせも延期となったため,旅費等分の予算の次年度使用が生じた.次年度は,上記の状況が改善され次第,研究を遂行し,旅費等として経費を使用する予定である.
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