研究課題/領域番号 |
18KK0131
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
笹 健児 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (10360330)
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研究分担者 |
大澤 輝夫 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (80324284)
陳 辰 神戸大学, 海事科学研究科, 特命助教 (40793815)
加納 敏幸 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (90500231)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | グローバルデータベース / 気象の不確実さ / 運航の不確実さ / 実船実験 / 最適運航 / 実海域性能 |
研究実績の概要 |
本年度は初年度であるため、研究体制の構築と強化を中心に実施した。 ①気象海象および運航変化(揺れ、速力、方位、エンジン状態等)の実船計測とグローバルデータベース構築 国際航海に従事する63,000DWT級ばら積み貨物船にて実船実験を実施しているが、航海情報記録装置(DVR)より航海および機関データをPCに記録するシステムの誤動作が発見されたため、2018年11月下旬に本船が停泊していた米国の港湾まで訪問し、システムの復旧を図った。これより本研究にて計測対象としている全てのデータが12月以降、正常動作しており、冬の北大西洋、南米大陸~アジアに至る海域にて何回か遭遇した荒天航海の状況をデータ取得に成功している。本年度はこの状態での計測を継続し、秋頃の時期に本船の寄港地を訪問し、データ回収、分析を行う計画としている。一方、クロアチア側にておいても、実海域における船舶性能に関する研究プロジェクトDESSERTが開始しており、具体的な共同作業およびデータ統合についてリエカにて実施する予定としている。 ②アジア、欧州よりオセアニアに至る海域における「気象の不確実さ」に関する分析およびパターンモデルの構築 2010~2016年度にわたり実施した28,000DWT級ばら積み貨物船のデータをもとに気象状況の再現検証を実施しているが、昨年度は南半球および北半球の広範囲で発生した荒天航海(8ケース)についての再現性を様々な角度より整理・考察を実施し、現在、研究成果として論文投稿中である。本年度はこれをさらに継続し、2018年に欧州の気象機関ECMWFよりリリースされた高精度データERA5も適用した検証を進める予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は実船実験にトラブルが生じたものの、11月~12月にかけて現地にて修復作業に従事、現在は観測システムは正常に作動、計画通りにデータ蓄積が進んでいる。また、リエカ大学との連携も相手方にて2019年1月より研究プロジェクトがスタートしており、国際共同研究を進める体制も順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の実施内容を継続し、実海域における気象海象、運航変化に関するデータを蓄積させる。これと同時にリエカ大学側にて実施予定の欧州を中心としたデータ取得に関する体制を整備する。両者のデータ統合、研究ツールの発展作業としてクロアチア側(またはノルウェー科学技術大学)にて当該作業も実施する計画としている。 気象の不確実さについて、収集されたデータベースの分析をさらに進め、ERA5といった高解像度の気象データベースを使用した解析を進め、再現性の向上を目指す。 運航の不確実さについて、現在、船速低下の評価方法に関する研究成果を論文投稿中であるが、さらに主機関係のデータをクロアチア側の研究者とともに分析を進める予定としている。 上記の成果をもとに、現在のウェザールーティングシステムにおける運航変化、気象の不確実さを向上させるアルゴリズムを設計する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度にクロアチアにて実施する予定であったデータベース統合作業が相手方の都合により渡航が不可能となり、次年度以降に予算を繰り越す必要があった。
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