Mie共鳴を示すシリコンナノ粒子について以下の国際共同研究を実施した. (1)研究代表者の研究室のドイツ人ポスドク,イラン人ポスドクと共同で,シリコンナノ粒子配列構造かならる動的制御可能なキラルメタサーフェスの開発を行った.その結果,ポリマー表面に形成したナノホール配列にサイズ選別したシリコンナノ粒子を入れたシリコンナノ粒子メタサーフェスを形成することに成功した.この構造ではナノ粒子のMieモードと格子モードが結合した特徴的な反射特性を示す(シミュレーションで確認済み).作製したメタサーフェスについて,機械的な引張によりナノ粒子間の間隔を変化させたところ,反射特性が動的に変化する様子が確認された. (2)Fribourg大学(スイス)のグループと共同で,DNAを用いてシリコンナノ粒子複合構造を制御して形成する技術の開発を行った.特に,今年度はシリコンナノ粒子表面にDNAを安定して結合させる技術の開発を行った.開発した技術について現在論文を投稿中である. (3)スウェーデン王立工科大学と共同で,Mie共鳴シリコンナノ粒子をセルロースに埋め込んだ複合構造の開発を行った.特にシリコンナノ粒子もセルロースも負に帯電しているため,どちらかの表面を正に帯電させるための検討を行い,良好な結果が得られつつある.並行して,太陽電池応用を目的にガラス表面にシリコンナノ粒子を低密度で均一に分布させる技術の開発を行った. (4)ラ・ラグーナ大学(スペイン)と共同で,シリコンナノ粒子を分散したメタフルイドが特定状況下で入射光の円偏光を保存し,円偏光近接場を形成することを理論と実験で示した.この結果は,Laser & Photonics Reviewsに発表済みである.
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