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2020 年度 実施状況報告書

ウラン等の環境負荷元素をその場分析するスマートシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0148
研究機関国立研究開発法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

香西 直文  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主席 (80354877)

研究分担者 山路 恵子  筑波大学, 生命環境系, 教授 (00420076)
関根 由莉奈  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 物質科学研究センター, 研究職 (00636912)
青柳 登  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究副主幹 (80446400)
研究期間 (年度) 2018-10-09 – 2022-03-31
キーワードモバイルデバイス / 環境負荷元素 / 人形峠 / 植物 / 土壌
研究実績の概要

人形峠環境技術センターの敷地内外2箇所の比較的放射線量が高い場所で植物とコケを数種類採取した。それぞれを洗浄した後に部位別に分け、乾燥させ重量測定したのち、試料のγ線を測定した。採取した植物のほとんどには、実験室のバックグラウンド(BG)γ線以外のγ線は検出されず、検出されたγ線もBG程度であった。一方、敷地内外2箇所の両方で採取したシダ試料では、根と葉の両方にウラン系列とアクチニウム系列の放射性同位元素である235U、231Th、227Th、226Ra、223Ra、214Pb、214Biのガンマ線が検出された。この結果は、シダの葉は有害物質による汚染の指標として利用できることを示す。
天然ウラン鉱物である閃ウラン鉱と人形石について極低温下における時間分解レーザー誘起発光分析を行った。主にU(IV)を含むこれらの鉱物にはU(VI)が微量に含まれており、それぞれが異なる発光ピークを示した。これらのピークは風化の度合いを示す指標として活用でき、本分析法が環境負荷物質を感度良く検出できる技術であると考えられる。
元素を選択的に検出可能な従来の材料の多くは粉末や液体であり、検出装置に装着することが困難であるが、セルロースナノファイバーを凍結架橋することにより、検出剤の性状に影響を与えることなく簡易にどのような吸着剤も担持可能な材料を開発することに成功した(英語論文発表1件、特許出願1件)。また、Cd、Pbを選択的に検出可能なアパタイト材料及び金属有機構造体材料の開発を実施した(英語論文発表1件)。当初、令和2年度に米国の連携先に渡米し、検出システムの開発を計画していたが、コロナ禍により計画変更を余儀なくされた。しかし、リモートでの連携に努め、電気信号や蛍光を利用した元素検出システムに適用可能な小型システムの開発に成功し、1件の研究成果を論文発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により出張が制限されたため、一部の実験分析が遅延した。特に当初予定していた米国に滞在して行う研究開発が研究最終年度である令和3年度に延期になった。そのため、代替実験・分析を行ったとともに、米国とのリモート会議による議論を行い、両国において検出システム等の検討を行った。溶解実験の代替として行ったγ線分析が有効な分析方法であることが明らかになった。検出システム等については、米国の提携先が主体として行った研究で論文発表を行った。日本では、当初の計画にはなかったが、検出剤保持方法の検討を行い、独自技術の開発に成功した。このように、当初の計画通りには進んでいないものの、代替研究で進捗があった

今後の研究の推進方策

植物試料については、令和1年度に溶解法によってU等が検出できなかったヨシとススキを放射線量が高い場所において新たに採取し、γ線分析による放射性核種検出を試みる。令和2年度に採取した場所以外でシダを中心とした植物を採取し、γ線分析による放射性核種検出を試みる。γ線が検出された試料について、溶解法による放射性核種等の抽出と定量を行う。一般的に植物は有害な元素を根より上部には移行しない機構を持つと考えられるが、シダではそのような機構を持たないため多くの放射性核種が蓄積したと考えられる。シダではAs等の有害元素も葉に蓄積されている可能性がある。Uが検出された試料については時間分解レーザー誘起発光分析による分析も試みる。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により延期していた検出システムの開発を、研究分担者1名が米国の連携先に渡米して実施する。これまでに開発した検出材担持体やプローブ、検出システムを組み合わせた検出システムを構築することを目指す。

次年度使用額が生じた理由

当初計画においては、研究分担者の関根が令和2年度に米国ノースウェスタン大学に長期滞在して研究開発を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて渡米することができなかったため、次年度使用額が生じた。令和3年度に渡米することが決定しているので、次年度使用額は、令和3年度分経費と合わせて渡米及び現地滞在費等として使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) 産業財産権 (1件)

  • [国際共同研究] ノースウェスタン大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ノースウェスタン大学
  • [雑誌論文] Carbonated nanohydroxyapatite from bone waste and its potential as a super adsorbent for removal of toxic ions2021

    • 著者名/発表者名
      Yurina Sekine, Takuya Nankawa, Teppei Yamada, Daiju Matsumura, Yoshihiro Nemoto, Masaki Takeguchi, Tsuyoshi Sugita, Iwao Shimoyama, Naofumi Kozai, Satoshi Morooka
    • 雑誌名

      Journal of Environmental Chemical Engineering

      巻: 2 ページ: 105114

    • DOI

      10.1016/j.jece.2021.105114

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Eco-friendly carboxymethyl cellulose nanofiber hydrogels prepared via freeze cross-linking and their applications2020

    • 著者名/発表者名
      Yurina Sekine, Takuya Nankawa, Shunji Yunoki, Tsuyoshi Sugita, Hiroshi Nakagawa, Teppei Yamada
    • 雑誌名

      ACS Applied Polymer Materials

      巻: 2 ページ: 5482-5491

    • DOI

      10.1021/acsapm.0c00831

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Soft, skin-interfaced microfluidic systems with integrated immunoassays, fluorometric sensors, and impedance measurement capabilities2020

    • 著者名/発表者名
      Sungbong Kim, Boram Lee, Jonathan T. Reeder, Seon Hee Seo, Sung-Uk Lee, Aurelie Hourlier-Fargette, Joonchul Shin, Yurina Sekine, Hyoyoung Jeong, Yong Suk Oh, Alexander J. Aranyosi, 他
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 117 ページ: 27906-27915

    • DOI

      10.1073/pnas.2012700117

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 凍結架橋による高強度セルロースナノファイバーゲルの開発2020

    • 著者名/発表者名
      関根 由莉奈・南川 卓也・三浦 大輔・柚木 俊二・杉田 剛・中川 洋・山田 鉄兵
    • 学会等名
      第101春季日本化学会年会
  • [産業財産権] ゲル、多孔質体、及びゲル又は多孔質体の製造方法2020

    • 発明者名
      関根由莉奈、南川卓也
    • 権利者名
      日本原子力研究開発機構
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2020-105534

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公開日: 2021-12-27  

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