研究分担者 |
岡本 隆一 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 特任講師 (10636385)
墨 智成 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 准教授 (40345955)
望月 建爾 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (40734554) [辞退]
植松 祐輝 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (30830111)
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研究実績の概要 |
次の三課題について研究を実施した. 課題1.溶解度に対する塩添加効果の尺度であるセチェノフ係数Ksと疎水性相互作用に対する塩添加効果の尺度である浸透第2ビリアル係数Bのイオン濃度微分係数CIの相関関係を確かめる目的で研究を実施した.分子動力学シミュレーションにより水中および水溶液中のメタンのB及び水溶液のKsを計算した.イオン種はHCl, LiCl, NaCl, CsCl, MgCl2, LiF, NaF, CsF, LiI, NaI, CsI, NaOH, アルコール種はメタノール,エタノール,プロパノールである.シミュレーションの結果は,理論式CI = CI(1) + Ks^2/4 にほぼ一致することがわかった. 課題2.ミセル形成駆動力の構成要素の解明に取り組んだ.界面活性剤分子および水分子からなるモデル系の分子動力学シミュレーションを行い,ミセルを形成する界面活性剤分子の疎水基部分の溶媒和自由エネルギー,親水基部分の静電エネルギーを評価した. 課題3.溶媒中の溶質分子間に働く有効相互作用が,溶質分子サイズと共にどのように変化するのかを明らかにする目的の研究を実施した.大規模分子シミュレーションを実行し,水中のメタン型分子間に働く疎水性相互作用および単純液体中のメタン型分子間に働く有効相互作用を,平均力ポテンシャルw(r)および浸透第2ビリアル係数Bとして評価した.溶質分子サイズ依存性の計算を行った.その結果,水溶液中ではBが負の値をとり,その絶対値が溶質分子直径σの6乗に比例して大きくなることを見出した.また, 一定の熱力学条件下の単純液体中でBが正の値をとり,その絶対値は,水中と同じく溶質分子直径σの6乗に比例することがわかった.これらの成果を論文にまとめ,J. Chem. Phys. のCommunicationsセクションにて発表した.
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