研究課題/領域番号 |
18KK0157
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
道信 剛志 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (80421410)
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研究分担者 |
松本 英俊 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (40345393)
角屋 智史 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助教 (70759018)
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研究期間 (年度) |
2019-02-07 – 2021-03-31
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キーワード | 有機半導体 / 半導体高分子 / トランジスタ / 太陽電池 / 有機エレクトロニクス |
研究実績の概要 |
スピンコートやブレードコート等の湿式法で大面積の均一薄膜を作製できる高分子半導体は、有機薄膜太陽電池や薄膜トランジスタ等の次世代デバイスの開発を進展させると期待されている。本研究では、ベンゾビスチアジアゾール(BBT)という縮環構造をモノマーとして選択し、パラジウム触媒を用いたクロスカップリング重合により高結晶性の新規半導体高分子を合成する。薄膜トランジスタの初期性能を評価した後、国際共同研究を通じて太陽電池やメモリ、CMOSインバータ等の薄膜電子デバイスの高性能化に挑戦することを目的とした。 BBTは非常に強い電子アクセプターであるため、電子輸送型(n型)半導体の基本骨格になり得ると考えた。すなわち、n型半導体特性を示すBBT高分子を開発することとした。一連の研究成果の蓄積に基づき、BBT単独では正孔(ホール)と電子の両方を流す両極性半導体になることが分かっていたため、正孔注入を妨げ、生成した正孔を完全に補足する構造としてナフタレンジイミド(NDI)または縮環オリゴフェニレンビニレン(BDOPV)を共モノマーして採用し、BBTと共重合した。BBTとBDOPVの共重合体は側鎖に分岐型長鎖アルキル基を置換すると、高い溶解性を示した。また、DFT計算により高い平面性を有する主鎖骨格を選択すると、トランジスタにおいて高い電子移動度を示すことが明らかになった。これらの高分子をブレードコート法を用いて薄膜化することで、結晶性の向上が期待できる。KAISTの共同研究先に短期滞在し、ブレードコート膜を作製した。 次に、太陽電池応用のための電子輸送型半導体高分子を設計した。BBT高分子と効率よく電荷分離するp型高分子は見つかっていないため、BBTの代わりにチエノピロールジオン(TPD)を用いることとした。平面性が高い主鎖骨格を得るため、πスペーサーの最適化を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年夏に共同研究先への短期滞在で重要な実験を実施した。しかし、2020年初めから新型コロナウイルスの影響が出始めており、目的高分子の合成実験と共同研究先での実験が停止している。そのため、当初予定よりやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
TPDとNDIの共重合体の構造を最適化し、対応する太陽電池の作製と光電変換特性の評価を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年初めから新型コロナウイルスの影響で合成実験ができなくなった。また、海外の共同研究先へ渡航して実験することも不可能である。そのため、太陽電池作製や光電変換特性評価の後れを取り戻すために、共同研究先で本研究に携わっていた学生を、可能な限り早い段階で博士研究員(2020年1月に学位取得)として雇用する予定である。
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