研究課題/領域番号 |
18KK0158
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 浩太郎 東京工業大学, 物質理工学院, 教授 (70377810)
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研究分担者 |
上垣外 正己 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00273475)
内山 峰人 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (10779680)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | 高分子精密合成 / リビング重合 / マルチアクティブ種 / フォト変換 / 光触媒ラジカル重合 |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者らが開発した「共有結合を炭素原子の電子状態を制御し解離することで、複数のマルチアクティブ種を経由して1本の高分子鎖を形成する」という新しい概念に基づく精密重合系を、国際共同研究を通じて、さらに推進・発展することを目的とする。本年は、とくに以下の点について検討を行った。 フォト変換マルチアクティブ種によるカチオン/ラジカル重合系の開発:本申請者らが報告した活性種変換リビングカチオン・ラジカル重合に対して、国際共同研究者が報告したPET-RAFT重合を適用し、光刺激を用いたマルチアクティブ種の生成制御についての可能性について検証している。すでに光触媒として、近年有機合成分野でも注目されている光レドックス触媒や光有機触媒などについて検討するとともに、カチオン重合触媒であるルイス酸との組み合わせについて検討し、PET-RAFTによる活性種変換リビングカチオン・ラジカル重合の可能性示す予備検討を完了した。次いで、本申請者や共同若手研究者が、国際共同研究者らの研究拠点である豪州ニューサウスウェールズ大学にて、実際に実験を通じてPET-RAFT重合光触媒の取り扱いや重合手法についてのノウハウを習得する予定であったが、出入国制限により渡航ができない状況が続いているため、オンラインでの議論を重ねて研究を遂行し、概ね予想通りの反応が進行することがわかりつつある。可能であれば繰り越しした次年度には豪州ニューサウスウェールズ大学での訪問研究において、この重合系における種々のモノマーを検討、植物由来モノマーへの展開も含めて、その適用範囲を明確にするとともに、従来の手法では合成不可能な異なる重合性を有するモノマー同士のブロック共重合体やランダム共重合体、マルチブロック共重合体など様々な構造の高分子の合成し、重合手法として確立・本重合系の有用性を見極める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
先方への研究訪問に向けた予備検討を開始し、概ね目的の反応が進行することを明確にした。出入国制限により渡航ができない状況が続いていたため、オンラインでの議論を重ねて研究を遂行している。さらに、植物由来モノマーであるグリセロール由来ビニルエーテルの活性種変換重合の予備検討を開始した。また、2021年10月より豪州ニューサウスウェールズ大学の当該研究室で修士課程を修了した学生を博士課程の学生として受け入れた。当該学生は2022年4月まで入国できなかったが、R4へ最終年度延長することで、当該検討課題についても精力的に参加してもらう。
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今後の研究の推進方策 |
予備検討結果をまとめるとともに、可能な限り豪州ニューサウスウェールズ大学への訪問研究を実施する。訪問に際しては、先方の事情も加味した上で時期を決定し、共同研究の加速に努める。また、本年度には当該研究室で修士課程を修了した学生を博士課程へ受け入れができたため、若手育成も含めて共同研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用となったものは旅費である。令和2年秋に、国際共同研究先への研究訪問を実施する予定であったが、入出国が制限され訪問時期を延期している。引き続きオンラインでの議論を重ね国内で検討を進めるとともに、可能となった際には訪問研究を実施する。また、当該研究室の修士課程を終えた学生が本申請者の研究室へ博士課程学生として入学したため、今後は、一層の共同研究を加速するとともに若手育成に力を入れていく。
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