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2020 年度 実施状況報告書

超広帯域光源開発のためのナノ粒子の最適化

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0159
研究機関北海道大学

研究代表者

米澤 徹  北海道大学, 工学研究院, 教授 (90284538)

研究分担者 グエン タンマイ  北海道大学, 工学研究院, 助教 (00730649) [辞退]
徳永 智春  名古屋大学, 工学研究科, 助教 (90467332)
塚本 宏樹  北海道大学, 工学研究院, 学術研究員 (90629346)
研究期間 (年度) 2018-10-09 – 2022-03-31
キーワードナノ粒子 / 光 / 赤外光 / フェムト秒レーザー / X線 / テラヘルツ光
研究実績の概要

今年度はフェムト秒レーザーを照射してテラヘルツ光の発光が可能であることを検証した。金属、半導体のナノ粒子を合成し、その安定な水分散液を調製した。その分散液を循環させながら液膜を発生させ、その液膜に焦点を合わせてフェムト秒レーザーを照射した。液膜付近でプラズマが発生し、そこからテラヘルツ光が放出される。また、基板上に半導体-金属層を作製し、コロイド液膜と同様にテラヘルツ光発生用基板として用いた。これにより、赤外フェムト秒レーザーからX線領域からテラヘルツ領域までの広帯域の発光システムを構築できる。
酸化銅(I)(Cu2O)は半導体であり、コアに金属銅をもてばそのプラズモン共鳴を利用して効率の良い発光が見込めるのではないかと仮定し、Cu2O-Cu複合相を合成した。サンプルは80℃から140℃までの範囲で加熱アニールし、銅の酸化状態を制御した。この温度領域では、CuOではなくCu2Oが表面に存在することをXRDおよびSTEM観察で明らかとした。得られたナノ粒子は安定に水、溶媒に分散させることができた。この分散液を用いて800 nmの波長35フェムト秒パルスレーザーを照射した。このCu2O-Cu複合相と金とを基板上で合わせることにより、強いテラヘルツ信号を出すことが見いだされた。
一方、ZnTeナノ粒子の合成において、テラヘルツ光の発生が昨年度可能となったので、X線の発生も目指したが、微細なナノ粒子を合成することが難しく、現状比較的大きな粒子が得られている。今後、この粒子を用いて、テラヘルツ光の発生を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでコロイド分散系、水などを用いて赤外フェムト秒パルスレーザーを照射することでX線からテラヘルツ発光まで、広帯域の発光が得られることを示した。さらには、酸化状態を制御したCu2O-Cu基板を用い、半導体-金属界面における発光現象を明らかとしている。研究目的はおおむね達成されている。しかしながら、コロイド分散系でのバリエーションがまだ少なく、今後、さらに物質系を広げてX線、テラヘルツ発光について検証していかなければならない。

今後の研究の推進方策

国際共同研究で台湾に行くことができず、コロイド分散系においては効率の期待できるサンプルの作製などに従事した。ZnTeのみならず、銀、酸化銅Cu2O-Cuナノ粒子系などに範囲を広げ、共同研究の幅を広げたい。冷気レーザーの特性に対して発光X線、テラヘルツ光がどのように変化するかを実験的に明らかにして、光子エネルギーにして6桁におよび波長変換機構の議論を行いたい。

次年度使用額が生じた理由

共同実験のために台湾に複数回行く予定であったが、全く渡航ができず旅費残額がのこってしまった。現在合成しているナノ粒子系について今後台湾に送付し、テラヘルツ測定を行っていきたい。今後、必要な物品費に費用を供することを考えている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] 中央科学院(台湾)(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      中央科学院(台湾)
  • [雑誌論文] THz wave emission from the Cu2O/Cu interface under femtosecond laser irradiation2020

    • 著者名/発表者名
      Chau Yuen-Ting Rachel、Huang Hsin-hui、Nguyen Mai Thanh、Hatanaka Koji、Yonezawa Tetsu
    • 雑誌名

      Applied Physics Express

      巻: 14 ページ: 012006~012006

    • DOI

      10.35848/1882-0786/abd070

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synergistic Effect of the Oleic Acid and Oleylamine Mixed-Liquid Matrix on Particle Size and Stability of Sputtered Metal Nanoparticles2020

    • 著者名/発表者名
      Nguyen Mai Thanh、Wongrujipairoj Krittaporn、Tsukamoto Hiroki、Kheawhom Soorathep、Mei Shuang、Aupama Vipada、Yonezawa Tetsu
    • 雑誌名

      ACS Sustainable Chemistry & Engineering

      巻: 8 ページ: 18167~18176

    • DOI

      10.1021/acssuschemeng.0c06549

    • 査読あり
  • [学会発表] Pt/Ag solid solution alloy nanoparticles synthesized by co-sputtering onto liquid polymer2021

    • 著者名/発表者名
      Mingbei Zhu,Mai Thanh Nguyen,Tetsu Yonezawa
    • 学会等名
      第56回応用物理学会北海道支部・第17回日本光学会北海道支部合同学術講演会
  • [学会発表] Mixed oleic acid and oleylamine as the matrix for synthesizing metal nanoparticles by sputter deposition2021

    • 著者名/発表者名
      Mai Thanh Nguyen and Tetsu Yonezawa
    • 学会等名
      日本化学会第101回春季年会2021
  • [学会発表] ナノ粒子を利用するSDGs2020

    • 著者名/発表者名
      米澤 徹
    • 学会等名
      千歳市立北斗中学校科学講演会
    • 招待講演
  • [備考] 先進材料ハイブリッド工学研究室

    • URL

      https://nanoparticle.hokkaido.university/

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公開日: 2024-12-25  

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