研究課題/領域番号 |
18KK0161
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大西 洋 神戸大学, 理学研究科, 教授 (20213803)
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研究分担者 |
一國 伸之 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (40261937)
丸山 伸伍 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80732362)
橘田 晃宜 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (90586546)
長嶋 宏樹 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (60814027)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | 金属酸化物 / 半導体 / ドーピング / 電子励起状態 / 電子-正孔再結合 / 人工光合成 / 水素燃料 |
研究実績の概要 |
金属酸化物半導体にドーピングした金属イオンは結晶の完全性を損なう不純物であるにもかかわらず、電子-正孔再結合を抑制して光触媒反応の量子効率を向上させるのはどうしてか? この問いに答える多国間協働チームを組織し、金属酸化物半導体の光励起・電子-正孔再結合・励起キャリア輸送・表面化学反応をつかさどる新しいサイエンスの発見が目的である。4年プロジェクトの最終年次となる2021年度には以下のような研究を実施した。なお、若手研究者の海外派遣を実施するために、繰越制度を使って研究期間を2022年度まで一年間延長した。 (1)界面選択的な振動分光による吸着種の化学分析:東北大学において酸化マグネシウム結晶板にチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)薄膜をパルスレーザー蒸着した。研究分担者がウィーン工科大学へ持参して液体水との界面に生じる化学種の振動スペクトルを和周波分光(SFG)で観測する計画であったがCOVID-19による渡航制限のため、薄膜をウィーンへ送って海外共同研究者に測定を依頼した。 測定結果をまとめた原著論文を海外共同研究者が作成中である。 (2)バリウムカチオンとランタンカチオンをドーピングしたタンタル酸ナトリウム(NaTaO3)光触媒微粒子をエックス線吸収分光法などで計測し、ドーピングしたカチオンが結晶内で占有するサイトを解析した成果を原著論文2報として発表した。 (3)顕微計測法による評価: チタン酸ストロンチウム光触媒微粒子にドーピングしたインジウムカチオンを走査型透過電子顕微鏡(STEM)による元素マッピングで可視化した成果を論文発表した。 (4)マイクロ電極を用いた反応生成物の時間分解検出:チタン酸ストロンチウム光触媒の表面から水中に放出される溶存酸素を0.1秒の時間分解能で計測し、酸素放出のメカニズムを解析した原著論文2報を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者と分担者がウィーン工科大学・レンヌ大学・マックスプランク高分子研究所などを訪問して共同研究を展開する予定であったが、COVID-19による渡航制限のために2020-2021年度にわたって実施できなかったため。日本国内における共同研究は順調に進展し、東北大学で作成した光触媒薄膜をウィーン工科大学へ送付して分光計測する国際共同研究も実施できた。しかし、日本の若手研究者を海外派遣して国際的な人脈を作らせるという研究種目の目標に照らして「遅れている」と判断せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
2022年4月現在では代表者と分担者の所属機関の渡航制限は緩和されつつある。その一方でウクライナ戦争によって旅客機空路が制限されるという予期せぬ障害が発生した。繰越制度を使って研究期間を2022年度まで延長したので、若手研究者の海外派遣をなんとか実施したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者と分担者がウィーン工科大学・レンヌ大学・マックスプランク高分子研究所などを訪問して共同研究を展開する予定であったが、COVID-19による渡航制限のために2020-2021年度にわたって実施できなかったため次年度使用額が発生した。2022年4月現在では代表者と分担者の所属機関の渡航制限は緩和されつつある。次年度使用額を使って日本側研究者、とくに若い分担者の海外派遣をなんとか実施したい。
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