研究課題/領域番号 |
18KK0165
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
熊澤 茂則 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (10295561)
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研究分担者 |
本田 沙理 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (20824890)
中村 純 玉川大学, 農学部, 教授 (30256002)
津田 孝範 中部大学, 応用生物学部, 教授 (90281568)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2021-03-31
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キーワード | インドネシア / プロポリス / ミツバチ / ハリナシバチ / 成分研究 / 機能性評価 / 起源植物 |
研究実績の概要 |
インドネシアのような熱帯地域には、毒針を持たないハリナシバチとよばれる小さなミツバチが生息している。このミツバチは一般的な西洋ミツバチと同様、ハチミツやプロポリスを巣に蓄える性質を持っている。しかし、ハリナシバチが生産するプロポリスの構成成分や生理機能はあまり解明されていない。そこで、本研究はインドネシアのハリナシバチが生産するプロポリスを対象に、その成分分析と生理機能評価を行うことで科学的エビデンスに基づいた付加価値を与えるとともに、具体的な製品開発を視野に入れた効率的なプロポリス生産法を確立することを目標としている。また、インドネシア現地でのフィールド調査とミツバチの生態学的研究によって、プロポリスの起源植物の解明を行うことも目指している。 2018年度はインドネシアのスラウェシ島産プロポリスより、尿酸生成に関連する酵素であるキサンチンオキシダーゼに対する顕著な阻害活性を有する新規化合物を見出すことができ、原著論文(Journal of Natural Products)に発表することができた。本成果はインドネシアにおける国内特許の出願を進めており、今後日本においても特許出願を行う予定である。フィールド調査研究に関しては、スラウェシ島において、プロポリスの起源植物探索を実施した。起源植物はまだ特定できていないが、候補となる植物を発見することができた。以上の成果は、インドネシアのジャカルタで開催されたアジア養蜂学術会議等で発表を行い、学術活動を通じたインドネシアとの国際交流も順調に進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はインドネシアのハリナシバチが生産するプロポリスを対象に、その成分分析と生理機能評価を行うことで科学的エビデンスに基づいた付加価値を与えるとともに、具体的な製品開発を視野に入れた効率的なプロポリス生産法を確立することを目標としている。プロポリスの成分分析は順調に進み、いくつかの新規成分の同定に成功した。また、それらの成分の中から、尿酸生成関連酵素であるキサンチンオキシダーゼに対する阻害活性を有する化合物を見出すことができ、インドネシア産プロポリスの痛風予防や治療につながる可能性が示唆された。インドネシア現地でのフィールド調査も良好な成果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究をより進展させることに注力し、主に以下の内容を推し進める。なお、これらの研究内容を実施するために、必要に応じてインドネシアより若手研究者または学生を日本に招き、研究指導を行う。 (1) スラウェシ島産のプロポリス試料については、まだ未解明な成分に関する分析研究を継続する。また、スラウェシ島産プロポリスより単離・同定したキサンチンオキシダーゼ阻害効果を有する新規成分に関して、より高活性な化合物を得るため、類縁体の合成検討を行う。 (2) スラウェシ島産以外のインドネシア産プロポリスの成分研究と幅広い機能性評価研究を進める。 (3) インドネシア現地でのフィールド調査を行い、プロポリスの起源植物解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当研究費の交付決定が10月であったため、消耗品関係(物品費)に関しては、実質、半年間分だけとなった。また、事務手続きの遅れ等により、他大学の研究分担者への配分は次年度に回すことになった。さらに、研究代表者のインドネシアへの旅費に関しては、招待講演でもあったため、先方負担であった。 2019度は、研究分担者に対して2年間分の物品費を支払うこと、また、インドネシア側から研究者を招待すること等も予定しているため、使用額は今年度よりも増えることが予想される。
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