研究課題/領域番号 |
18KK0176
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
花田 耕介 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 准教授 (50462718)
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研究分担者 |
平 順一 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 助教 (20549612)
白井 一正 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 特任助教 (90816654)
近藤 隆之 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 博士研究員 (90826174)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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キーワード | 抗菌性ペプチド / バナナ |
研究実績の概要 |
申請者は、モデル生物であるシロイヌナズナおよびトマトで、ペプチド性遺伝子(<100aa)にコードされる細胞外分泌ペプチドの中で、数十個の新規の抗菌性ペプチドを見出すことに成功している。このような抗菌性ペプチドの探索手法の確立は、より重要な作物においても切望されている。特に、世界での生産量が1億トンを超える唯一の果物であるバナナは、次々と異なる遺伝子型を示すフザリウムと呼ばれる糸状菌の感染を受け、世界中で問題となっている。本研究では、マレーシアに存在する多数品種を持つグループと連携することで、フザリウムに耐性を持つ品種を探し出し、その品種のトランスクリプトームおよびプロテオーム解析で、耐性に関わると考えられるペプチド候補を探索することを目指す。 当該年度は、分担者の近藤がマレーシアの共同研究者グループ(Harikrishna博士、Teo博士、マラヤ大学)に数週間滞在し、バナナ型フザリウムであるFusarium oxysporum f.sp. cubense tropical race 4を接種し、フザリウムへの抗菌性が高いラインを選抜した。その結果、フザリウム耐性が強いバナナの4系統とフザリウム耐性が弱いバナナの4系統を見出した。一方で、感染後は、バナナの導管液を採取し、プロテオーム解析を行う必要がある。そのため、様々な方法で導管液を取る方法を検討した。さらに、トランスクリプトームのサンプリングを行うためのRNA抽出方法を現地の博士研究員に伝達し、様々な条件でのトランスクリプトームおよびプロテオーム用のサンプリングを行う準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、マレーシアの共同研究者グループ(Harikrishna博士、Teo博士、マラヤ大学)が、フザリウム耐性バナナとフザリウム感受性バナナの系統を保有していると聞いていた。しかし、保存状態が悪く接種を行える状態でなかった。そのため、それらのフザリウム耐性および感受性の再選抜を行う必要があり、それに多大な時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
トランスクリプトームおよびプロテオームのデータ解析は、申請者と分担者の白井が、実施する。トランスクリプトームデータは、次世代シークエンス解析で得られた転写配列のアッセンブルを行い、品種特異的な転写配列を構築し、転写配列に存在する全遺伝子配列を予測する。また、バナナのReferenceゲノムに存在する新奇のペプチド性遺伝子は、同定済みである。これらの用意された全ての遺伝子配列に次世代シークエンスのデータをMappingして、バナナ型フザリウムに誘導されるペプチド性遺伝子の同定を行う。プロテオーム解析は、用意された全てのペプチド性遺伝子のアミノ酸配列をデータベースとして、3反復のいずれにおいても細胞外に分泌されているペプチド性遺伝子を同定する。これらの結果をまとめて、バナナ型フザリウムの感染で誘導され、細胞外に分泌するペプチドを同定する。同定されたペプチドが多すぎる場合には、細胞外分泌シグナル配列を有するもの、誘導度が高いものを優先させ、100遺伝子程度の候補遺伝子を絞る。 先行研究と同じ方法で、5アミノ酸重なる20アミノ酸の断片化ペプチドを人工的に合成する。ペプチド合成は、一ペプチドあたり2000円で行う契約を結んでいる業者に発注する。ペプチドの抗菌性を調べるために、フザリウムの胞子濃度を血球計算盤で計算し、1×106個/mlにし、96穴プレートに200 μlずつ添加する。それらのプレートには、ペプチドを添加し、フザリウムの発芽や菌糸の形状を観察することで、抗菌活性を調べる予定でいる。
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