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2019 年度 実施状況報告書

Consequences of intensive maize cultivation on soil microbiome and efficient nitrogen cycling in sub-Saharan Africa

研究課題

研究課題/領域番号 18KK0183
研究機関北海道大学

研究代表者

内田 義崇  北海道大学, 農学研究院, 准教授 (70705251)

研究分担者 多胡 香奈子  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 主任研究員 (20432198)
山本 昭範  東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20733083)
研究期間 (年度) 2018-10-09 – 2023-03-31
キーワード窒素循環 / 土壌微生物 / サブサヘルアフリカ
研究実績の概要

本研究では、サブサハラ・アフリカ地域における土壌劣化の深刻性を、窒素循環に関わる土壌微生物の機能と多様性によって評価し、有機物施用によるそれらの回復力を明らかにすることを目的としている。そのために、現地調査により土壌劣化の現状やそれに伴う土壌理化学性の変化を明らかにし、海外の研究者と共同で土壌遺伝子の解析を行う。
本年度は、ザンビアにて現地拠点機関研究者と共同でサンプリングを行った土壌の微生物解析を行った。一つの大きな発見は、自然生態系を農地化した場合、バクテリア群集は多様化する、ということである。これは、類似であるが他地域(ヨーロッパやアメリカなど)で行われた研究結果と大きく異なる。一方で、微生物の「量」の減少(DNA量から推定)、全炭素や窒素の欠乏といった傾向は他地域と似ているため、この地域の土壌劣化は微生物多様性損失問題とは切り離して考えなければいけないことがわかりつつある。また、上記の傾向をさらに多地点で調査するため、マラウイ、ケニアの共同研究者と現地調査を行った。これらについてもさらなる解析を行う予定である。
また、農地開発による微生物多様化が何を意味するか、という点についても新たな知見が得られた。特に、窒素循環に関わる微生物群の変化が大きく、例えば硝化古細菌の相対的比率の減少などは多地点で共通して見られた特徴である。我々は、この地域で通常行われる尿素系肥料の施用が微生物群集変化に関連していると予想し、今後解析を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

【ザンビアの土壌微生物コミュニティー・多様性の解析】農地土壌では自然生態系土壌と比べ、土壌微生物のDNA量は減少した。しかし、16S rRNA遺伝子を対象に行った次世代シークエンシングによって得られたOTUのデータを、Shannon多様性指数を用いて解析したところ、自然生態系に比べて農地のShannon多様性指数は上昇した。これは、農地開発によって土壌微生物は減少しながら多様化したことを示唆している。非類似度多次元尺度法(NMDS)によるコミュニティー構造の相違についての解析では、自然生態系と農地の土壌でコミュニティー構造がはっきりと異なっていた。農地では、自然生態系で相対存在量が多かったクレン古細菌門が減少し、プロテオバクテリア門の相対存在量が多くなっていた。これらの門には窒素循環における硝化を担う「硝化菌」が多数存在し、これらの変化は農地土壌の窒素循環機能にも影響を与えている可能性がある。
【ケニア・マラウイでの調査】現地での土壌サンプリング(5カ所×2土地利用×3プロット×3コア=90サンプル)を行った後、現地の共同研究者に土壌の粒径組成の解析を委託し、日本で土壌pHの測定を行った。微生物解析については、16S rRNA遺伝子領域を対象とした次世代シークエンシングを行い、現在微生物データを用いて解析を行っている。

今後の研究の推進方策

【全ゲノムの解析】16SrRNA解析のデータをまとめた後、一部のDNAに関しては全ゲノムを読む。ドイツのヘルムホルツ研究所で行う。この結果を解析し、窒素循環に関わる遺伝子の変化を網羅的に調べる。特に、プロテアーゼなどの有機態窒素を分解し無機態窒素として植物や微生物に提供する酵素の多様性や量に着目する。バイオインフォマティクス的手法が必要になるが、それに関してもドイツで習得する予定である。【窒素動態・窒素循環関連機能遺伝子の解析】自然生態系と農地で変化していたザンビア土壌の微生物群集の硝化活性を測定し、群集の違いの硝化機能への影響を調べる。【ケニア・マラウイ土壌の微生物コミュニティー・多様性の解析】ザンビア土壌と同様に多様性指数やNMDSを用いて、多様性の変化および群集構造の相違を調べる。

次年度使用額が生じた理由

当該助成金が生じた状況:現地調査で得られたサンプル数が予想よりも少なく、消耗品消費量が少なかった。
翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画:次世代シーケンサ解析等に利用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 その他

すべて 国際共同研究 (5件) 学会発表 (3件)

  • [国際共同研究] ヘルムホルツ研究所(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      ヘルムホルツ研究所
  • [国際共同研究] ザンビア大学(ザンビア)

    • 国名
      ザンビア
    • 外国機関名
      ザンビア大学
  • [国際共同研究] リロングウェ大学(マラウイ)

    • 国名
      マラウイ
    • 外国機関名
      リロングウェ大学
  • [国際共同研究] ナイロビ大学(ケニア)

    • 国名
      ケニア
    • 外国機関名
      ナイロビ大学
  • [国際共同研究] ミネソタ大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      ミネソタ大学
  • [学会発表] Effects of cultivation on soil microbial community structures and functions in sub-Saharan Africa2019

    • 著者名/発表者名
      Takamitsu Ohigashi, Yoshitaka Uchida
    • 学会等名
      International Symposium on Biodiversity in the Global Food System
  • [学会発表] サブサハラアフリカにおける耕作が土壌微生物機能に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      大東孝充 内田義崇
    • 学会等名
      令和元年度 日本生態学会北海道地区大会
  • [学会発表] サブサハラアフリカにおける耕作が土壌微生物の窒素循環関連機能に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      大東孝充 内田義崇
    • 学会等名
      令和元年度 日本生態学会

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公開日: 2021-01-27  

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