研究課題/領域番号 |
18KK0191
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田中 あかね 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80418673)
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研究分担者 |
松田 研史郎 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 産学官連携研究員 (70642619)
松田 彬 岡山理科大学, 獣医学部, 講師 (90613969)
雨貝 陽介 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 研究員 (50733143)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2022-03-31
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キーワード | 酸素濃度 / 皮膚 / アレルギー / マスト細胞 |
研究実績の概要 |
① 皮膚炎発症に伴う皮膚内環境変化の解析:アトピー性皮膚炎自然発症モデルであるNC/Tndマウスを用いて皮膚炎発症と皮膚内環境の変化、特に酸素濃度との関連性について比較、解析を行った。SPF環境下で飼育した皮膚炎未発症のNC/Tndマウスを対照として、皮膚炎を発症しているマウスに酸素濃度インディケーターであるpimonidazoleを注射したのち、それぞれのマウスの背部皮膚を採取して免疫組織化学染色を実施、発症初期の皮膚内酸素環境変化を解析したところ、とくに皮膚炎を発症したコンベンショナルマウスにおいて真皮層のpimonidazole陽性となる低酸素領域が検出できた ② 低酸素環境における炎症性細胞の応答解析:表皮や真皮を構成する各細胞群の低酸素環境における炎症性応答をin vitroに て解析した。具体的にはPAM212, HaCaT, HEKa(いずれもケラチノサイト)、NIH/3T3(線維芽細胞)、LAD2, RBL-2H3(いずれもマスト細胞)、骨髄由来培養マスト細胞、血管内皮細胞初代培養細胞などの培養細胞株および初代培養細胞を通常酸素条件下および低酸素条件下で培養、経時的にサンプルを回収、細胞におけるTSLP、 TNF-alpha、IL-1、IL-6など、炎症性サイトカイン発現を中心にmRNAおよびタンパク質レベルで解析するとともに、とくにマスト細胞の脱顆粒や血管申請促進因子に関する検出を実施した。これらの解析により、低酸素環境下での培養によって、炎症性サイトカインや血管誘導因子の産生が増強されることが明らかとなった。 ③ マンチェスター大学における研究の実施:2018年度は研究代表者がマンチェスター大学を訪問し、共同研究ミーティングを実施、とくにヒトサンプルでの解析について技術的な擦り合わせを行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスを用いた研究は、研究代表者等によって順調に進められた。マンチェスター大学のカウンターパートとのコミュニケーションはしっかり保てており、ヒトサンプルの解析についても目処が立っている。
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今後の研究の推進方策 |
生体防御やストレス応答反応には未だ不明な点が多い。とくに皮膚疾患では、細胞レベルでの解析が進むものの、発症に至る初期過程を捉えることが難しく、皮膚ストレス応答の多くが未解明のままである。本研究では、疾患皮膚における組織酸素濃度の大きな変化とそれに呼応してプロファイルを変える表皮や免疫細胞の機能に関する解析を連動・深化させ、アトピー性皮膚炎の新たな病態解析と制御を展開する。長年の研究交流実績を有する英国マンチェスター大学・Dr. Arkwrightを共同研究者とし、疾患モデル動物を用いたトランスレーション研究のトレーニングを積んだ若手研究者に国際的研究を経験させるために、実効性の高い研究チームを構成しているが、ポスドク1名が就職のため研究グループを離脱した。2019年度は、ポスドク1名をマンチェスター大学に派遣し、現地での研究を進める予定である。
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