研究課題/領域番号 |
18KK0192
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 直人 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (20334922)
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研究分担者 |
山田 健太郎 宮崎大学, 農学部, 准教授 (70458280)
佐々木 道仁 北海道大学, 人獣共通感染症国際共同研究所, 講師 (70609403)
西山 祥子 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (90817058)
西園 晃 大分大学, 医学部, 教授 (70218155)
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研究期間 (年度) |
2018-10-09 – 2023-03-31
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キーワード | 狂犬病ウイルス / 野外株 / P蛋白質 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、狂犬病ウイルスI型インターフェロン(IFN)アンタゴニストとして知られる4種類のP蛋白質アイソフォーム(P2-5)が、同ウイルス野外株の病原性(末梢感染性・神経侵入性)において重要かどうかを検討することである。 本年度は、昨年度に狂犬病ウイルス野外株の小松川株の遺伝子操作系を用いて作出したP2-5発現欠損型変異株(KomadP2-5株)について、その増殖性および病原性の検討を実施した。神経系培養細胞での増殖曲線を比較した結果、昨年度に得た予備試験と同様に、小松川株とKomadP2-5株の増殖性に顕著な差は認められなかった。次に、小松川株およびKomadP2-5株を成熟マウスに筋肉内接種することで各株の病原性を評価した。10^2-4 FFUの各株を接種したマウスの生存曲線は、いずれの投与量でも類似し、小松川株およびKomadP2-5株の病原性に顕著な差がないことが明らかとなった。この成績より、小松川株のP2-5蛋白質は、その病原性において重要な役割を果たしていないことが強く示唆された。 これらの研究を遂行する過程で、狂犬病ウイルス野外株の遺伝的な不安定さに起因する問題に直面した。具体的には、神経系培養細胞を用いた常法により各株の保存液を調整した場合、人為導入した変異とは異なる変異が増殖の過程で挿入されることが強く示唆され、結果として上記の増殖性および病原性のデータの解釈が困難であることが判明した。今後、本研究を遂行するためには、この問題を解決する必要がある。
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